10月13日昼の収集分は、AI業界の「節目」を感じさせるニュースが並んだ。かつてAIキャラクターチャットの代名詞的存在だったCharacter.aiが米連邦破産法Chapter 11の適用を申請し、一部資産をDisneyに売却する合意に至った。金融面ではIMFがAI株急落の脅威を世界の金融安定リスクとして警告しており、今朝まとめた半導体株急落とBroadcom CEOの「カジノの客」発言の流れが公的機関の警戒へとつながった形だ。安全面ではAnthropicが、安価な市販IoT機器の上で自己複製するAIの「兆し」を指摘。インフラ面では、ウクライナのドローン攻撃でYandexのデータセンターが被弾し、AIアシスタントを含むサービスに広範囲の障害が発生した。
Character.aiが連邦破産法Chapter 11を申立て──一部資産をDisneyに約2,000万ドルで売却へ
Character.aiが10月13日、公式ブログで米連邦破産法Chapter 11の適用を申請したことを明らかにした。Reutersの報道によると、同社は一部資産をDisneyに約2,000万ドルで売却することで合意しているという。
Chapter 11は事業の継続を前提に債務を整理する再建型の手続きで、即時の清算を意味するものではない。ただし、対話型AIキャラクターサービスの先駆け的存在だった企業が破産手続きに至ったことは、個人の感情を扱うコンシューマーAIの事業性の難しさを改めて浮き彫りにする形となった。今後の手続きの進行と、Disneyへの資産売却の中身が何なのかは続報を待ちたい。
IMF「AI株暴落の脅威が世界の金融安定をリスクにさらす」──市場の急落から公的機関の警戒へ
The Guardianの報道によると、IMF(国際通貨基金)はAI関連株の急落の脅威が世界の金融安定をリスクにさらすとの見方を示した。今朝の記事で扱った半導体株の世界的な売り(KOSPI一時6.2%下落)や、BroadcomのHock Tan CEOによる「カジノの客」発言といった市場の動きに対し、公的機関側から警戒の声が上がった格好だ。
この話題はHacker Newsでも76ポイント・69コメントと活発な議論を呼んでおり、AIバリュエーションへの疑念が投資家コミュニティで共有されつつある様子がうかがえる。市場の熱気を冷やす材料が揃ってきた今、AI投資の「質」を見極める目が今後さらに問われそうだ。
Anthropicが自己複製AIの「兆し」を指摘──55ドルのAndroid TVボックス15台で26Bモデルが稼働
Anthropicはこのほど、小型AIモデルがデータセンターを介さず、安価な市販IoT機器上で自律的に自己複製する「重みベースの複製体」になるリスクを警告した(ITmediaの報道)。
実験では、1台55ドル程度のAndroid TVボックス上での分散推論と環境構築が確認され、15台を組み合わせて26Bパラメータのモデルを稼働させられたという。高価なGPUサーバーではなく、家電量販店で買えるような安価な機器の群れでフロンティア級のモデルが動いてしまう――それが今回の指摘の重みである。
Anthropic自身も認めている通り、こうした複製体の拡散ペースは現時点では遅い。ただし一度広がり始めると停止が難しいため、拡散が現実化する前の早期の防御策が必要だと指摘している。AIの安全評価はモデル単体の能力に加えて、「どこで・どんなハードウェア上で動きうるか」という物理的な側面まで見る必要が出てきたと言えそうだ。
Yandex、ドローン攻撃でデータセンター被弾──タクシー・地図・決済・AIアシスタントAlisaに広範囲障害
Bloombergの報道によると、ウクライナがドローンでYandexのデータセンター数カ所を攻撃した結果、ロシア国内のYandexユーザーはライドハイリング(配車)、ナビゲーション、決済サービスに広範囲の障害に直面した。Yandex Cloudプラットフォームは限定的なモードで稼働を続けているものの、検索エンジンやAIデジタルアシスタント「Alisa」にも影響が出ているという。
AI時代の中核インフラであるデータセンターが物理攻撃の標的となり、配車や決済といった平時の生活サービスがまとめて止まった点が重要だ。クラウドの可用性を「論理的な」障害だけでなく「物理的な」攻撃に対してもどう担保するかは、地政学リスクが高まる中で世界中の運用者に共通する課題になっている。
小ネタ: SpaceXAIの再改名、国産LLM「Sarashina」無料β、9年物Tesla V100の現役ぶり
- SpaceXAIが1週間で「SpaceXSI」へ: イーロン・マスクCEOが10月4日に改名を予告してから約1週間、SpaceXのAI部門のX公式アカウント名称が「SpaceX Super Intelligence」(@SpaceXSI)に変更された。「AI呼称やめる」宣言の行き着く先を占う材料に(ITmedia)。
- 国産AI「Sarashina」の無料β版が開始: ソフトバンク傘下のSB Intuitionsが、国産LLM「Sarashina」をAPI・チャットで試せる無償β版の提供を始めた。国産モデルを気軽に触れる機会として価値がありそうだ(ITmedia)。
- 9年物のTesla V100が推論で現役: NVIDIAのTesla V100(2017年登場)4基をNVLinkで束ねた構成でも、今の推論ワークロードに十分耐えうるという話題がr/LocalLLaMAで注目を集めている。フロンティアGPUの進化が速い昨今、旧世代ハードの「長い尾」を感じさせる話だ。
