OpenAIは10月5日(現地時間)、EUのAI Act(AI規制法)への対応として、ChatGPTとCodexが生成する文章に不可視の「透かし」を入れると発表した。一方で米国防総省(ペンタゴン)は、AI企業Anthropicをブラックリストに登録したことを受けて同社ツールの利用を停止したとBBCが報じた。民間でもMetaとMicrosoftがClaudeの利用を大きく縮小していることが明らかになり、急成長企業を取り巻く逆風が目立つ一日だった。モデル界隈では、Reflection AIが中国モデルへの対抗馬としてオープンウェイトモデル「Beam」を正式発表。19歳創業者が率いるGhostが1,100万ドルを調達し、「パーソナルAIコンピュータ」が話題を集めた。
OpenAI、EU向けにChatGPTとCodexの文章へ「不可視の透かし」
OpenAIは10月5日、EUのテキスト出所(provenance)規則への対応として、ChatGPTとCodexの生成テキストに不可視のウォーターマークを導入する方針を公式ブログで発表した。透かしが適用される範囲や検証の仕組みに加え、アクセスを研究機関への提供から始める理由についても説明している。
報道各社の情報をまとめると、透かしには「textGrain」と呼ばれる技術を使う。文章を編集しない状態では検出率は最大95%に達する一方、単語の4分の1が置き換えられると検出率は17%まで低下するという。OpenAI自身も、文章への手の加え方が検出の難易度を左右すると認めている。
API利用者への対応が注目される。OpenAIはEU圏のChatGPTとCodexには透かしを適用する一方、API利用者については世界中の顧客がオプトアウトできる方針で、透かしを必須としているAnthropicとは異なるアプローチを取る。編集への耐性という課題もあり、透かしが実際にどの程度「効果的な出所証明」として機能するかは今後の検証を待ちたい。
ペンタゴンがAnthropicの利用を停止──Meta・Microsoftも「Claude離れ」
米国防総省(ペンタゴン)が、Anthropicをブラックリストに登録したことを受けて同社のAIツールの使用を停止した、とBBCが10月5日に伝えた。収集時点では、登録に至った経緯や対象となるツールの詳細は明らかにされていない。
民間側でもClaudeから離れる動きが報じられている。The Decoderの報道によると、Microsoftはクラウド部門における従業員1人あたりの月次Claude予算を10万ドルから1万ドルに削減。MetaもClaude Codeの利用者を半減させ、約3万人に絞り込んだ。両社とも自社のAIツールへの移行を進めており、Anthropicにとって少数の大口顧客への依存が戦略上のリスクとして浮かび上がった形だ。
その一方で、Anthropicの社員は2025年だけで5億4,000万ドルを寄付し、これはFortune 500企業で2番手の寄付額の約5倍に相当すると報じられている。メガIPOを控えた同社への評価が官民それぞれでどう変わるか、注視したい。
Reflection AI、オープンウェイトモデル「Beam」を正式発表
前回のまとめで「リリースを準備している」と伝えられたReflection AIが10月5日、オープンウェイトモデル「Beam」を正式にお披露目した。少ない計算コストで中国勢のモデルに対抗できることを売りにしており、Semaforはこれを「中国のAI研究所への、西側からのオープンソースの答え」と評した。
Beamの狙いは一般消費者向けではなく、企業や主権の国家。顧客が独自データでReflectionのモデルを訓練し、自分たちだけのカスタマイズされたローカルAIシステムを構築できる「AIファクトリー」という製品構想の中核に据える。欧州ではAleph Alphaが主権AIを掲げる「Kolibri」を公開したばかりで、「手元に置けるAI」を求める流れがさらに強まりそうだ。
19歳創業者のGhost、1,100万ドル調達──3,499ドルの「パーソナルAIコンピュータ」
自分専用のAIを動かすためのハードウェアを作るGhostが、1,100万ドルの資金調達を実現した。創業者は19歳。同社の製品は3,499ドルの「パーソナルAIコンピュータ」で、クラウドではなく手元のマシンでAIエージェントを動かす体験を提供する。
新製品にはNvidiaのRTX PRO 4000 Blackwellが搭載されると紹介されている。スマートフォンでも既存PCでもない「AIのための1台」という専用ハードウェアの切り口は、ローカルLLMコミュニティで長く議論されてきた方向性でもあり、実売3,499ドルの製品としてどこまで普及するか見ものだ。
Reka AIのオムニモデル「Rho-1」──画像・動画・ロボット制御まで1モデルで
Reka AIは、テキスト・画像・動画の処理と生成に加え、ロボットの制御動作まで単一のニューラルネットワークで扱うオムニモデル「Rho-1」を公開した。パラメータ数は190億で、H100 GPUを320基使い、約3ヶ月で訓練したという。
特徴は、タスクごとに専用システムへ振り分ける構成を取らず、すべてのモダリティをトークンとして1つの共有コンテキストウィンドウで処理する点。現在の最先端モデルが必要とする計算資源のごく一部で訓練できたとされ、「巨大モデル一辺倒ではない」アプローチの実証例として興味深い。
TikTok、AIショッピングアシスタントとワンクリック決済を展開
TikTokは、ユーザーが商品を発見し購入まで済ませるのを支援する「Shopping Assistant」をロールアウトした。会話型のAIエージェントとして設計されており、ワンクリック決済にも対応する。
ショート動画という「発見」に強い文脈に、会話型ショッピングと即時決済を組み合わせる構えだ。AIエージェント経由の購入体験が利用率にどこまで結びつくか、今後の展開を確認していきたい。
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