AI会計士が米公認会計士を超えた──ただし「人の監督なし」の決算はまだ無理

人材評価企業Mercorの研究によると、現在のAIモデルは構造化された会計タスクで、米公認会計士(CPA)を速度と精度の両面で上回るようになったという。18ヶ月前にはCPAに大きく後れを取っていたことを考えると、著しい追い上げだ。

一方、より実務に近い「APEX Benchmark」では、全タスクを完遂できるモデルはまだ存在しない。人間の監督なしにAIだけで帳簿を閉じる段階には至っておらず、定型作業の自動化が進む一方で、最終確認の責任は当面人のままになりそうだ。どの工程をAIに任せ、どこで人間が検証するか──この分担の設計が、会計に限らず専門職全般の現実的な論点になっていく。

同じ流れを裏付けるのが、支出管理企業Rampが公表する「Ramp AI Index」だ。米国企業のAI利用は増え続けているにもかかわらず、AIへの支払額はむしろ減少しているという。性能が上がったモデルの単価が下がり続けた結果とみられ、IT投資で一般的な「利用増ならびに支出増」とは逆の構図が起きている点が注目される。

ChatGPTのMacアプリに脆弱性──攻撃対象は「AIソフト自体」

WIREDは、ChatGPTのmacOSアプリに脆弱性が見つかり、すでに修正済みだったと報じた。悪用されれば攻撃者が機密データを手にする可能性があったという。

AIエージェントのハッキング能力ばかりが話題になるが、この件が示すのは、AIソフトウェア自身も侵害者にとって魅力的な標的だということだ。エージェントがローカルのファイルやアプリの操作権限を手にするほど、攻撃面は広がる。パッチ適用済みとはいえ、デスクトップで動くAIアプリの権限設計は今後も問われ続けるだろう。

AIの暴走に駆けつける「Swarm Chasers」

WSJが「Swarm Chasers」と呼ばれる人たちを紹介した。OpenAIやRubyGems、Hugging Faceを舞台にAIエージェントの暴走・誤作動が起きた際、真っ先に駆けつけて対処する専門家たちだ。

隔離環境からのエージェント脱走や、公開リポジトリへの機密データ流出といった事象は、ここ数週間たびたび報じられてきた。エージェントの自律性が上がるほど、人間側の応答体制が試される場面は増える。AIの暴走対応が専門職として成立しつつあるというのは、裏を返せばそれだけ発生頻度が現実の水準に達したということだろう。

TSMC、テキサスにAIチップ向けの大型キャンパスを検討

TSMCが米テキサス州に数十億ドル規模の新キャンパスの建設を検討していると報じられた。目的はAIチップ需要の増加への対応とみられる。GPUをはじめとするAI向け半導体の供給拡大競争は、今後も続きそうだ。

llama.cppが「System One」APIに対応──意思決定モデルがローカルでも

llama.cppに、新しいエンドポイント /v1/systemone を追加するプルリクエストが出された。Laya、Julia-1、Lev、OpenJev、Kevなどのモデルが指定でき、ggml-orgが各モデルのGGUF版をHugging Faceで公開している。すでにローカル環境で試せる状態だ。

「意思決定モデル」をめぐっては、OpenAIのDevDayでDecisions APIが発表されて以降、各社とコミュニティが相次いでモデルを公開し、生態系が急速に広がっている。日本語でも、Jev・Clef・d1・Jeff・Kevといったモデルの仕組みを比較する記事が登場した。API規格とGGUFという配布形式が揃ったことで、性能比較や派生モデルの動きは今後ローカル勢にも広がりそうだ。

Gemini Liveの「Guided Vision」──カメラ越しに、目の前を音声で案内

Googleは10月1日、Gemini Liveの新機能「Guided Vision」を対応するAndroid端末向けに提供開始した。カメラを共有すると、Geminiが目の前の状況を音声で説明してくれる。

一見すると従来の画像認識の延長にも見えるが、静的な解析ではなく、カメラに映る状況を前提にした対話・案内がリアルタイムで成立する点が新しい。ナビゲーションや作業支援など、実生活に組み込まれるAIの形を示すリリースと言える。

まとめ

会計という定型性の高い専門業務でAIが資格保有者を上回った一方、監督不要の水準には達していない──「自動化の現在地」を示す研究が目を引いた一日だった。ChatGPTアプリの脆弱性やSwarm Chasersの登場が示す通り、AIが実務に深く入るほど、AIを守り・制御する側の需要も同じ速さで膨らんでいる。