Moonshotがオープンウェイト初の3T級モデル「Kimi K3」を公開
Moonshot AIが総パラメータ2.8TのMoEモデル「Kimi K3」を公開した。オープンウェイトのモデルとしては初の3T級を自称する。アーキテクチャはKimi Delta Attention(KDA)とGated MLAを93層のうち69層+24層で構成し、896人のエキスパートからトークンごとに16人を選ぶStable LatentMoEにより、Kimi K2比で約2.5倍のスケーリング効率向上を謳う。活性化パラメータは104B。テキスト・画像・動画を単一モデルで扱うネイティブマルチモーダルで、コンテキスト長は約105万トークン。MXFP4重み/MXFP8活性化の量子化ありき学習(QAT)を採用し、ウェイトはKimi K3 Licenseの下で公開されている。
ベンチマークはreasoning effort=maxでの結果として、SWE-Marathonで42.0(比較対象のClaude Fable 5が35.0、GPT-5.6 Solが39.0)、BrowseCompで91.2、MCPMark-Verifiedで94.5、τ³-Bankingで33.4など、エージェント系・長期コーディング系の一部で先行モデルを上回るスコアを示している。一方でFrontierSWEやOfficeQA ProではClaude Fable 5が、GPQA DiamondではGPT-5.6 Solが上回るなど、全項目でリードしているわけではない。GPUカーネル最適化やコンパイラ開発、CAD、チップ設計まで含む長時間の自律コーディングを主戦場とする位置づけだ。
Qwen3.8-Maxが「0902」版で更新──API限定
AlibabaのQwenチームは、フラッグシップのQwen3.8-Maxを「Qwen3.8-Max-0902」として更新した。総2.4Tパラメータ・1Mトークンコンテキストで、Coding & Coworkを軸に追加のポストトレーニングが施され、複雑なエンタープライズタスク、科学研究、長期ワークフローでの性能強化をうたっている。現時点ではAPI経由でのみの提供。
興味深いのは、コミュニティで3.8系の「協調性」への不満がちょうど上がっていたことだ。Redditのr/LocalLLaMAでは「Qwen 3.8は最高のコーダだが、ひどい協力者だ」という投稿が話題になり、2行の変更のはずが100行のリンターまがいの差分になったり、既存コードの命名や構造を無視して厳密な型チェックを大量に追加したりする体験が報告されていた。0902版の「Cowork」強化がこの種の摩擦にどこまで応えるかは、これからの実際の利用評価を待ちたい。
DGX SparkもRTX 5090に続いて値上げ──ローカルAIハードの調達難
NVIDIAのDGX Spark(GB10搭載)が値上げされ、RTX 5090に続く形となったことが話題になっている。Redditでは「5090から目を逸らして他を探したら、DGX SparkもM5 Ultraも大企業に買い荒らされている」「サーバーはもう選択肢にすらならない。未来は中古ハードなのか」といった反応が並ぶ。教育現場で学生用の環境を整える担当者からは、価格上昇の速さについていけないという嘆きも出ていた。
中古やマイニング由来のハードに頼る動きにはリスクもある。同じくRedditで、CMP 170HXを5枚運用したら2枚が2週間で死亡(1枚はvLLM起動時に即ドロップ、もう1枚は起動時にCUDAエラー)、3枚目はテンソルコアの初期不良で届いたという報告が投稿され、「現在の価格はこのリスクに見合わない」との注意喚起も出ている。ローカルLLM向けハードの選択は、性能だけでなく調達経路の信頼性まで含めて考える時代になりつつあるようだ。
AnthropicがClaudeの利用制限を一括リセット──Fable 5.1リリースに伴う更新
前回紹介したClaude Fable 5.1のリリースに伴い、AnthropicはClaudeの5時間および1週間の利用制限枠を一括リセットしたと発表した。新しいモデルへの移行で使い切っていた枠が元に戻る形で、料金面での改善に続き、移行の障壁を下げる施策が続いている。
MLLMでドローンを操る「DroneCATS」──小さいモデルは飛べるが「終わり」を宣言できない
Hugging Face Daily Papersに掲載された研究「DroneCATS」は、マルチモーダルLLMをそのままドローンの制御ループに投入し、9モデル(GPT-5、Claude Opus 5、Gemini 3.7 Flash、Gemini Robotics-ER 2、Qwen3.5ファミリー4サイズ、Cosmos3-Edge-2B)をクローズドループのシミュレーションで比較した。ファインチューニングも関数呼び出しのスキーマ定義もなしに、アクション空間をプロンプトで宣言するだけという構成が特徴で、どのMLLMでもそのまま接続できる。
結果は示唆的だ。小型モデルでも目標への接近自体はフロンティアモデル並み、場合によってはそれ以上に安定している。たとえばQwen3.5-9Bは接近タスクで90%のエピソードで成功半径内に到達しながら、実際に到着を宣言して完了に至るのは35%にとどまる。4機のドローン艦隊への指令では、1つの座標を4つの異なるビューに貼り付けるような失敗も見られたという。「自分の完了を認識できないエージェントには委任できない」──オンボードの計算資源制約の下でこのギャップをどう閉じるかが、次の課題として挙げられている。
まとめ
今日はオープンウェイト陣営の大型モデル公開(Kimi K3)と、API専用フラッグシップの更新(Qwen3.8-Max-0902)という巨大モデルのニュースが並び、その裏でローカルで動かすハードの価格はさらに厳しさを増した。モデルの進化とインフラ価格の上昇が同時に進む中で、どこで推論を走らせるかという判断は今後さらに重要になりそうだ。Kimi K3の実測評価は、コードや周辺レポートの展開を追いながら確認していきたい。
