8月11日に海外メディア各社から報じられたAI関連の動きを整理する。ビジネスモデルの転換、フロンティアモデルの研究上の成果、大型資金調達、組織の人事異動、インフラ標準化と、方向性の異なるニュースが同時に出揃った一日だった。

ChatGPTで広告テストを始めたOpenAI

OpenAIは、ChatGPT内での広告表示のテストを始めたと発表した。無料アクセスを持続させるための収益基盤と位置付けており、明確なラベル表示、回答の独立性、強いプライバシー保護、ユーザーによる制御を基本方針として掲げている。「回答の独立性」という表現からは、広告主の意向が会話の回答内容に影響しないことを強調したい意図が読み取れる。

これまでChatGPTの収益は主に有料プラン頼みだった。会話型インターフェースに広告をどう自然に溶け込ませるか、UXを損なわずに収益化できるかは、類似サービス全体の先行事例として注目される。

リーマン予想で進展を見せたAnthropicの未公開モデル

TechCrunchが伝えたところによると、Anthropicの未公開モデルが、150年以上未解決の数学の難問「リーマン予想」について、これまで以上の進展を見せたという。リーマン予想そのものを解決したわけではないが、最先端の推論モデルがこうした超難問に対して「予想以上に踏み込める」ことが確認された意義は大きい。

純粋な数学の研究に大規模言語モデルがどこまで寄与できるのか、長年の難問に対する新たなアプローチとしての可能性を示唆する成果と言える。なお、対象となったモデルは未公開のため、一般の利用者には直ちに影響はない。

11億ドルを調達したRiver AI、「オープンなAIスタック」構築へ

River AIが、General CatalystとAMP PBCがリードするラウンドで11億ドル(約1600億円規模)を調達した。資金は「オープンなAIスタック(Open AI Stack)」の構築に充てるとしている。公開ベースのAI基盤を独自に育てる動きは、クローズドな大手モデル一強への対抗軸として、業界構図に影響を与えうる。

OpenAIのLightcap氏が退社、新プロジェクトへ

OpenAIで最高執行責任者(COO)を務めたBrad Lightcap氏が同社を離れ、新たなプロジェクトを始動させる。Lightcap氏はすでにCOO職からは離れており、社員宛てのメモで「次の地平に集中してきた」「まもなく共有できることがある」と述べている。詳細は現時点では不明だが、OpenAIの中核メンバーの一人が独立して動き出す点は、業界の人材流動の観点で見逃せない。

Meta買収を解消、独立運営に戻るManus

中国発のAIスタートアップManusは、Metaによる買収を解消し、近く独立企業としての運営を再開すると発表した。背景には、中国当局が同取引をブロックしたことがあるとされる。移行に伴い一部の顧客アカウントに影響が出る可能性や、ユーザーデータが削除されるリスクも示唆されており、Manusはデータ保護ツールを提供して対応を急ぐとしている。

AI工場向け「800VDC」電力規格を推進するNVIDIA・Google・Microsoft

NVIDIAは、GoogleやMicrosoftとともに、次世代AI計算向けの「800VDC(800ボルト直流)」電力アーキテクチャの標準化を推進していると説明した。従来の交流(AC)配電では変換段階ごとに損失が生じ、ラックの高密度化に伴い非効率が拡大していた。800VDCは直流で高電圧を直接配電することで変換段階を減らし、GPUにより多くの電力を届ける設計だ。

Open Compute Project(OCP)を通じて3社が共同で仕様を公開しており、すでに80社以上が対応製品を開発中という。既存のAC設備にも後付けできるハイブリッド対応の電力ラックは2026年後半に登場予定で、建設済みのデータセンターが取り残されない配慮も示されている。調査会社Wood Mackenzieは、2040年までにAI・データインフラへ9兆ドル規模の投資が続くと予測しており、その受け皿として電力アーキテクチャの整備が急がれている。