ローカルLLM界隈は今週、DeepSeekの新モデル周辺で動きが続いている。今度はコミュニティ主導でツール呼び出しの不具合修正がllama.cppに取り込まれた。一方で、モデルの「小型化」がどこまで続くのかという根本的な問いがLocalLLaMAで議論を呼んでいる。規制面では、xAIが挑んだ「nudify」アプリ規制の差し止めが退けられた。さらに、AIへの反発や疲労を感じさせる声が、ブラウザ選びからチェスエンジン開発、著名YouTuberの告白にまで広がっている。
DeepSeek V4 Flashのツール呼び出し修正がllama.cppにマージ
先日公開されたDeepSeek V4 Flash(0731)で、ローカル環境でツール呼び出し(function calling)を使うとループや不安定な挙動が報告されていた。この問題に対する修正が、主要な推論エンジンであるllama.cppに約半日前に取り込まれたという。修正PR(#26269)が本体にマージされた後、報告者の手元では問題が起きていないという。ローカルでエージェント的な使い方を試している層には実益の大きいアップデートで、DeepSeek V4 Flash続きの継続ニュースとして位置づけられる。
モデルはどこまで小さくなれるのか
DeepSeek V4 Flashの小型化・高性能化を機に、「モデルをどこまで小さくできるか」がLocalLLaMAで議論された。蒸留やMoE、合成データ、より長い推論時間などにより、同じパラメータ数でも一昔前より賢くなっているのは事実だ。だが、言語理解や広域の知識保持、推論、汎化に必要な「最低限の容量」は存在するのではないか、というのが問いの核心になる。ベンチマークで大モデルに近いスコアが出ても、レアな知識や想定外のプロンプトで崩れやすいのではないか、という慎重な見方も出ている。コストが消えたのではなく、高価な学習や大モデルからの蒸留など別の場所に移動しているだけではないか、という指摘も興味深い。
Qwenのオープンソース次手を占う
Qwen 3.6 35B-A3Bを好評に使っているユーザーから、Qwenのオープンウェイト展開の次を占う投稿が出た。Qwen 3.7はすでにOpenRouter経由でAPI利用できるものの、ウェイトが公開されるかは不透明という。コミュニティからは、より大きなモデルの公開や、エッジ向けラインナップの拡充など、複数の方向への期待が語られている。確定的な情報はなく、あくまでコミュニティの予想の域を出ない点には留意したい。
xAIが挑んだ「nudify」アプリ規制、ミネソタ判事が差し止め却下
ミネソタ州が、画像から裸体を生成する「nudify」アプリを禁じる州法をめぐり、xAIが差し止めを求めていた裁判で、判事がxAI側の請求を退けた。これにより同法は前進できる状態となった。表現の自由を理由にAI企業が規制に異を唱える構図は、ディープフェイクや非合意の裸体生成という社会問題と並んで、今後も各地で繰り返される可能性がある。事実関係は報道に基づく限りであり、司法の帰趨は今後の展開を待ちたい。
AIへの反発と疲労がコミュニティに波及
興味深いのは、AIそのものへの反発や疲労を感じさせる声が複数重なっている点だ。Hacker Newsでは「AI機能のないブラウザ」を探す投稿が共感を集め、AIの有無がソフトウェアの思想やプライバシー観まで左右するとの主張が出た。チェスエンジンの開発コミュニティでは、AI支援による開発に対して公然と敵対的な反応が出ていると報告されている。さらに著名YouTuberのHank Greenは、LLMとのやり取りで得るドーパミン量が「自分にも世界にも良くない」と率直に告白した。一つひとつは個別の事象だが、AIの浸透が進む中で「距離を置きたい」という感覚が、技術コミュニティの一角にも広がりつつあることをうかがわせる。