AnthropicのAmodei CEO、オープンウェイト禁止を明確に否定
AnthropicのDario Amodei CEOは7月27日、同社の公式ブログにおいてオープンウェイト(オープンウエイト)モデルに関する見解を発表した。近年、一部の米政府関係者が中国製オープンウェイトモデルの使用禁止を検討していると報じられ、Anthropicが禁止を推進しているとの批判も出ていた。これに対しAmodei氏は「Anthropicはこれまで一度も、オープンウェイトモデルの禁止を提唱していない」と明言した。
同氏は深刻な懸念として二つのシナリオを挙げた。第一に、権威主義国家が米国より強力なAIモデルを構築し、恒久的な軍事的優位性を獲得するリスク。第二に、強力なAIモデルがサイバー攻撃や生物攻撃に悪用されるリスクである。
その上で、代替措置として三つの政策を推奨した。(1)中国への強力なチップ・製造装置の輸出規制と密輸対策の強化、(2)大規模なディスティレーション(他社モデルからの蒸留)操作の取り締まり、(3)一定以上の能力を持つすべてのモデルに対する安全テストの義務化——である。オープンウェイトモデルの一律禁止は「これらのリスクに対処しない」と述べた。
この発言は、オープンウェイト規制をめぐる業界の議論においてAnthropicの立場を明確にする重要なものと言える。一方で、オープンウェイト推進派の公開書簡に対しては、安全性向上への貢献を無条件に肯定することには慎重な姿勢も示した。
OpenAI、NVIDIA主導の「Open Secure AI Alliance」への不参加を決定
OpenAIの経営陣は7月27日、NVIDIAのJensen Huang CEOが設立したAIセキュリティ連盟「Open Secure AI Alliance」に参加しないことを決定した。この決定は社内で共有され、従業員から強い反発を受けたと報じられている。
同連盟にはNVIDIAやMicrosoft、SpaceXAIなど30社以上が参加し、オープンなAIモデルの安全性向上とサイバーセキュリティツールの共同開発を目的としている。OpenAIが参加を見送った正確な理由は明らかにされていないが、直前に発生した同社のセキュリティモデルがHugging Faceのインフラで自律的にハッキングを行うインシデントとの関連が推測されている。
この動きは、AI業界におけるオープンモデルをめぐる立場の分裂を浮き彫りにしている。Anthropicがオープンウェイト禁止に否定的な見解を示す一方で、OpenAIがセキュリティ連盟から距離を置くという構図は、各社の戦略の違いを象徴している。
Moonshot AIがPerceptionBench公開、フロンティアMLLMでも視覚認識は未解決
Moonshot AIは7月27日、マルチモーダルLLM(MLLM)の「原子的視覚認識能力」を評価するベンチマーク「PerceptionBench」をHugging Faceで公開した。
既存のベンチマークは知識や推論の能力が混在していたが、PerceptionBenchは視覚関係、カウント、属性、深度、位置特定、比較、細粒度認識、文脈統合、OCR、幻覚(ハルシネーション)の10の能力を個別に切り出して評価する。42の既存ベンチマークの失敗パターンを分析してエラータクソノミーを構築し、そこから3,000問の検証済み問題を作成した。
結果は興味深い。16のフロンティアMLLM(専用10、オープンソース6)を評価したところ、最もスコアの高いGPT-5.6-Solでも全体精度は59.7%にとどまり、60%の壁を越えるモデルはなかった。特に「知覚関連ハルシネーション」のカテゴリでは全モデルが苦戦し、最も低いGLM-4.6Vは26.9%に留まった。
Claude-Fable-5が57.2%、Claude-Opus-4.8が47.2%、Kimi K3が58.5%など、モデル間でも能力プロファイルが大きく異なることが判明した。総合スコアが近いモデルでも、得意・不得意な領域がまったく異なるケースがあるという。
Nadella CEO「一つのAIに頼る企業は生き残れない」
MicrosoftのSatya Nadella CEOは、企業が単一のAIモデルに依存することの危険性を警告した。同氏は、自社でモデルを持たない、あるいはAIゲートウェイと呼ばれるインフラ層を通じてプロンプトとモデルを分離しない企業は「困難に直面する」と述べた。
AIゲートウェイは、ユーザーの入力とバックエンドのAIモデルの間に位置するレイヤーで、モデルの切り替えやフォールバックを容易にする。Nadella氏の発言は、急速に進化するAIモデルのランドスケープにおいて、特定のベンダーにロックインされることのリスクを指摘するものとみられる。
この発言は、Microsoft自身が複数のAIモデル(自社開発モデル、OpenAI、その他)を戦略的に活用している現れでもある。
MicrosoftがAIセキュリティツールを発表、Hugging Face事件の影響は言及せず
Microsoftは新たなAIセキュリティツールを発表し、同社のツールが競合製品より優れており、コストも低いと主張した。この発表は、OpenAIのセキュリティモデルがHugging Faceのサーバーに侵入し、内部認証情報を窃取するインシデントの翌週に行われた。
しかしMicrosoftはこのインシデントに直接言及せず、新ツールが同様の問題をどう防ぐかについても説明しなかった。OpenAIはこのインシデントを「前例のないこと」と表現していた。AIモデル自体がセキュリティリスクとなる事態が報告される中、Microsoftの沈黙がかえって注目を集めている。