NVIDIAが韓国・KAISTと合同AI研究ラボを開設――国家規模のAI戦略が加速
今週サンフランシスコで開催されたAI Summitにおいて、NVIDIAと韓国の科学技術院(KAIST)が合同AI研究ラボを設立することが発表された。KAISTの金在昌AI大学院に設置されるこのラボは、韓国の大学とグローバル技術企業による初の合同AI研究拠点となる。
韓国の李在明大統領をはじめ、主要企業のリーダーや研究者が参加する今回のサミットは、Jensen Huang氏の前月の韓国訪問を踏まえたものだ。NVIDIAのフルスタックAI専門知識とKAISTの学術的成果を組み合わせ、エージェント型AIの推進を目的とする。
また、韓国の主要企業であるSK Telecom、KT、LG U+がNVIDIAの検証インフラにアクセスする枠組みも整備される。韓国はAIインフラ、専門人材、産業応用の全層において国家戦略を推進しており、グローバルなAIイノベーションハブを目指す姿勢が明確である。
MicrosoftがGitHub CopilotとExcelで自社AIモデル「MAI」に切り替え
Microsoftは、GitHub CopilotやExcelにおいて、同社が開発したAIモデル「MAI」シリーズの本格導入を開始した。既存のOpenAIやAnthropicのフロンティアモデルは引き続き併用しつつ、高頻度で実行されるタスクをコストの低い自社モデルに振り分けることで、コストパフォーマンスの向上を図る。
この動きは、大手テック企業がAI利用のコスト構造を見直し始めたことを示す象徴的な事例だ。これまでのAI機能は最先端モデルに全面的に依存してきたが、タスクの性質に応じてモデルを使い分ける「ルーティング」アプローチが主流になりつつある。Microsoftは今後、他のサービスにも同様のアプローチを拡大する方針を示している。
Copilot StudioでLLM選択により100倍の料金差――設計時に注意が必要
MicrosoftのPower Platform内でAIエージェントを構築できるCopilot Studioにおいて、LLMのティア選択によって料金が最大100倍になるという問題がコミュニティで注目を集めている。
Basicティアを1とした場合、Standardティアでは15倍、Premiumティアでは100倍の料金が発生する。単純な問い合わせ対応のAIエージェントであっても、Premium tierのモデル(GPT-4oなど)を指定すると、想定を大きく上回るコストにつながる可能性がある。
実運用では、タスクの複雑さに応じて適切なティアを選ぶことが不可欠だ。特に大量のリクエストが想定されるシナリオでは、BasicやStandardで十分なケースも多く、初期設計でのモデル選定がコストに直結する。
日本企業向けAI推論プラットフォーム「ai&」が登場
ai&は、日本企業向けに設計したAI推論プラットフォーム「ai& Inference」の提供を開始した。ClaudeやGPTなど海外ベンダーのAIに代わる選択肢として、AI利用コストを大幅に削減できるとしている。
データ主権やコンプライアンス要件が厳しい日本企業にとって、国内ベンダーの推論プラットフォームは実用的な選択肢になりうる。ただし、海外のフロンティアモデルと比較した場合の性能面での評価は、実際のユースケースにおいて慎重に検証する必要がある。
AI検索時代の新たな最適化手法「GEO」とは
AIによる検索・回答生成(Generative Engine)が普及する中、従来のSEOとは異なる最適化手法「GEO(Generative Engine Optimization)」への関心が高まっている。
GEOは、AI検索エンジンが自社サイトを正しく参照・引用されるようにするための取り組みだ。従来のSEOがキーワードやリンク中心だったのに対し、GEOではコンテンツの構造化、情報の明確性、引用されやすさが重視される。実際に企業を対象とした検証事例も報告されており、実用段階に入りつつある。
AI検索のトラフィックシェアが拡大する中で、Webマーケティングの基本戦略としてGEOを理解しておく重要性は今後さらに高まるだろう。
その他の動向
- MoEの小型エキスパート議論: RedditのLocalLLaMAコミュニティで「MoEの小型エキスパート(3B/4B/9B)が機能するなら、全体として小型の特化モデルを作ればよいのでは」という議論が活発化。汎用大型モデルと特化小型モデルのどちらが効率的かという根本的な問いが再燃している。
- 明治安田生命の工数見積もりAI: 有識者に依存しがちなシステム開発の工数見積もりをAIエージェントで効率化するPoCを実施。属人的なプロセスの標準化にAIを活用する国内事例として注目される。
- AI広告コピーの一括生成: Google・Meta広告向けにAIでクリエイティブコピーを一括生成する手法が実用化されつつあり、CVR改善事例も報告されている。
まとめ
今日の動向から見えるのは、AI利用の「コスト最適化」と「実用化の深まり」という2つのトレンドだ。Microsoftの自社モデル導入やCopilot Studioの料金問題は、AIコストが無視できない事業課題になったことを示している。同時に、GEOやAIエージェントによる業務効率化など、AIを具体的なビジネスプロセスに組み込む取り組みが加速している。韓国の国家戦略と合わせて、AIの産業応用競争がいっそう激化していく局面と言える。