JetBrainsがコーディング特化モデル「Mellum2」をオープンソース化
JetBrainsが、AI開発ワークフロー向けに設計されたコーディング特化モデル「Mellum2」の技術レポートを公開し、モデル自体もオープンソースとしてリリースした。
Mellum2は12BパラメータのMixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャで、推論時にアクティブなパラメータは約2.5Bという軽量設計だ。JetBrainsの主張によれば、コーディング性能はQwen 3.5 9Bの推論モデルと同水準に達するという。ただし、コーディング以外の汎用タスクではQwen 3.5 4Bにも及ばないとの指摘もあり、あくまで「コーディングに特化」した割り切りが特徴だ。
JetBrainsは既に自社IDEでAI補完機能を提供しており、Mellum2のオープンソース化は、開発ツール企業が自前モデルをコミュニティに還元する流れの象徴的な一歩と言える。モデルはHugging Faceで公開されている。
OpenAI、フロリダ州司法長官からAI被害で提訴される
フロリダ州の司法長官がOpenAIを提訴した。AIによる危害(AI harms)を理由とする法的措置で、米国の州レベルでAI企業が直接訴追される事例は重要な前例になりうる。
訴訟の詳細はWall Street Journalが報じているが、具体的な被害内容や請求額はまだ明らかになっていない部分も多い。いずれにせよ、AI企業の責任範囲を司法がどう画定するかは、今後のAI規制の方向性に直結する問題だ。
これまでAI関連の訴訟は著作権侵害を中心に進んできたが、消費者保護や安全上の危害を理由とする州司法長官による提訴は、規制の次のフェーズに入ったことを示唆している。
DuckDuckGoが「AIなし」検索エンジンのアクセス改善、トラフィック急増
DuckDuckGoが、AI生成コンテンツを含まない検索結果を提供する「no AI」検索エンジンのブラウザ拡張機能をChromeとFirefox向けにリリースした。
同社のトラフィックは好調に推移しており、TechCrunchの報道によれば「traffic booms(トラフィック急増)」の状況にあるという。GoogleやBingがAI概要(AI Overview)を検索結果に統合する流れが加速する中、あえて「AIなし」を選択する需要が確かに存在し、それが代替検索エンジンへの流入を生んでいる構造だ。
これは一見すると逆潮流に見えるが、ユーザー層の分割を示唆しているとも言える。AIを積極的に活用したい層と、情報の純粋さを重視する層の二極化が進む可能性がある。
Bain調査: AI投資は「循環的賭け」、ROIは期待を下回る
Bain & Companyの最新調査が、企業のAI投資の現実を浮き彫りにした。多くの企業がAIによるコスト削減効果を予測していたが、実際の成果は予測を大きく下回っているという。
調査はこの状況を「circular bet(循環的賭け)」と表現した。AI企業に投資し、そのAI企業が別の企業のAI導入を支え、その企業がまたAIに投資する――この循環のどこかで実際の生産性向上が起きているかというと、必ずしも明確ではない。
一方で、Import AIのJack Clarkが紹介した研究によれば、米国の「AI経済」は名目GDPベースで約2,500億ドル(2025年時点)に達し、品質調整後の実質成長率は年間約2,600%と試算されている。マクロのGDP統計にはほぼ見えない規模で急成長しているのが現状だ。
投資の循環構造と、マクロでは見えにくい急成長。この二つの見方のギャップこそが、現在のAI投資の最も正直な姿かもしれない。
Zig言語プロジェクト、AI生成コードの貢献を全面禁止
プログラミング言語Zigのプロジェクトリーダーが、AI生成コードによる貢献を全面禁止する方針を発表した。「invariably garbage(一律ゴミ)」という強い言葉でAI生成コードを批判したことが、Hacker Newsで大きく注目を集めた。
これは単なるAI嫌悪というより、システムプログラミングという分野特有の事情がある。Zigのような低レイヤーの言語では、メモリ安全性やパフォーマンスの細部が極めて重要で、表面的に正しく見えるコードが実は微妙なバグを含んでいるケースが多い。AI生成コードのレビューコストが、そのコードの価値を上回っているという判断だ。
先日QEMUプロジェクトがAIコード規制を緩和したニュースもあったが、プロジェクトの性質や成熟度によってAIコードへの態度は大きく異なる。一刀切りの結論はまだ出ていない。
StravaがAIアプリ・スクレイパー対策でAPI制限を強化
フィットネストラッキングアプリのStravaが、APIアクセスの制限を強化した。理由は「zero-code AI apps and scrapers(ノーコードAIアプリとスクレイパー)」の急増だ。
The Vergeの報道によれば、AIツールの普及により、StravaのAPIを利用するアプリやスクレイパーが爆発的に増加し、インフラへの負荷とデータ不正利用のリスクが高まっていたという。
これはAIの波及効果が予想外の領域にまで及んでいることを示している。AIアプリそのものではなく、AIツールによって「誰でもAPIを使ったアプリを作れるようになった」ことの副作用が、プラットフォーム側の対応を迫っている構図だ。