StepFun 3.7 Flash — 196BパラメータのMoE、ローカルで動くフロンティアクラスの新モデル
StepFunが「Step 3.7 Flash」をリリースした。196B総パラメータのマルチモーダルMoE(Mixture of Experts)モデルで、アクティブパラメータは11B、1.8BのViTを内蔵する。最大400 TPSのスループットを謳い、128GB RAM環境でのローカル実行が可能という。
ベンチマークはフラッシュクラスのローカルモデルとしては異例の強さを見せている。SWE-Bench Proで56.26%、DeepSearchQA F1で92.82%、HLE w/toolsで47.2を記録。Terminal-Bench、Toolathlon、ClawEvalなどのエージェント・ツール使用タスクでも従来のStep 3.5 Flashから大幅な改善を示した。
興味深いのは、中間の推論過程(thinking trace)がほぼ非整合的に見える一方で、最終的な回答が「完璧」になるという技術的な特徴だ。前バージョンで指摘されていた「無限思考」の問題も修正されているという。
Hugging FaceではBF16、FP8、NVFP4、GGUFの各フォーマットで公開され、llama.cppへのDay-0サポートPRも提出された。StepFunがフォーク維持ではなくアップストリームへの直接貢献を選んだ点は、オープンソースコミュニティとの協調姿勢を示している。4x3090クラスのハードウェアを持つユーザーにとっては、実用的な選択肢になりうる。
llama.app登場 — ローカルAI推論の敷居がさらに下がる
llama.cppの作者Gerganov氏が「llama.app」を立ち上げた。llama.cppに公式ウェブサイト、統合インストーラー、単一のllamaCLIエントリーポイントを提供するもので、ローカルAIのデプロイとサードパーティのエージェント統合を大幅に簡素化する狙いだ。
この動きは、ローカルAIの生態系が急速に整いつつある背景と呼応している。LangChainの調査では、2026年4月時点で3分の1のAIチームがオープンウェイトモデルを運用しており、9ヶ月前の5分の1から急増している。Epoch AIの推定では、オープンウェイトモデルはプロプライエタリのフロンチーモデルから約4ヶ月遅れに短縮されており、その差は年々縮まりつつある。
同じくOllamaが「OpenJarvis」を発表し、Stanford/Hazyの「Intelligence Per Watt」構想と連携したローカルファーストのパーソナルAIを構想している。NVIDIAも4つのオープンモデルファミリーをLinux FoundationのOpenMDW-1.1ライセンスに移行し、ウェイト・コード・ドキュメント・データ間の法的断片化を減らす動きを見せている。
AIがLinuxカーネルの致命的脆弱性「Fragnesia」を発見
2026年5月、Linuxカーネルに極めて深刻なローカル特権昇格(LPE)の脆弱性「Fragnesia」(CVE-2026-46300)が発見された。かつて世界を震撼させた「Dirty COW」を彷彿とさせるもので、リードオンリーのファイルシステムキャッシュをメモリ上で改ざんすることを可能にする。
特筆すべきは、この脆弱性がAIエージェントによる自律的なバグハンティングの過程で特定されたという点だ。従来のファジングや人間によるコードレビューでは発見が困難だった複雑なリグレッションを、AIが自律的に追跡・特定したことになる。
システム管理者にとっては深刻度の高い脆弱性であり、パッチの適用が急務となる。同時に、この事例はAIがセキュリティ研究において人間の能力を補完する強力なツールになりつつあることを実証している。
マルチターンRLの「見えないバグ」— Token-In-Token-Outの原則
Hugging Faceが、ツール使用を伴うマルチターンRLの学習ループに潜む微妙だが重要なバグを指摘した。
問題の核心は、モデル出力をデコードし、ツール呼び出しをパースした後、更新された会話を再トークン化する際に、トークン化が変化し、モデルが実際にサンプリングしたことのないシーケンスに勾配が適用されてしまう点にある。この「トークンの不一致」は、学習の有効性を静かに損なう。
提案された修正は「Token-In, Token-Out」ルール——サンプリングされたトークンを再エンコードせず、単一のトークンバッファをターン間で維持するというものだ。vLLMもネイティブのウェイト同期APIと非同期RL向けの改善をリリースし、Rust製BPEトークナイザ「fastokens」でCPUトークン化のボトルネック軽減に取り組んでいる。
Google Managed AgentsとCodexのWindows対応 — エージェントスタックの垂直統合が加速
GoogleがGemini APIに「Managed Agents」を追加した。単一のAPIコールで、コード実行・ウェブアクセス・ファイルI/Oを備えたサンドボックス化されたLinux環境をプロビジョニングできる。コンシューマー向けには、Gemini Sparkが米国のAI Ultra加入者に24時間稼働のパーソナルエージェントとして提供を開始した。
OpenAIはCodexのコンピュータ使用(computer use)をWindowsに拡大し、ChatGPTモバイルアプリからのリモート操作にも対応した。バックグラウンドエージェントの安定した識別子や、過去のチャット検索などUX改善も進んでいる。
共通する方向性は「チャットボット」から「ポリシーとメモリを持つ管理された実行環境」への移行だ。モデル+ハーネス+サンドボックス+UI+リモート制御+価格設定を統合した、より垂直統合されたエージェントスタックが主流になりつつある。
Sources:
- StepFun 3.7 Flash (LocalLLaMA/Hacker News)
- llama.app (Gerganov/X)
- Epoch AI Research オープンモデル遅延推定
- Fragnesia CVE-2026-46300 解説 (Zenn/you2h)
- HuggingFace Token-In-Token-Out RL警告 (ClementDelangue/X)
- Google Managed Agents / Gemini Spark (Google/X)
- OpenAI Codex Windows対応 (OpenAI/X)
- LangChain Deep Agents v0.6 / オープンモデル採用調査