VLMの誤答の正体は「推論」ではなく「知覚」にあった
UCSCの研究チームが、視覚言語モデル(VLM)の誤答の原因を分析したところ、Qwen3-VL-8Bの誤答の86.9%が知覚(perception)エラーに起因していることが分かった。つまり、モデルは「考えて」間違えたのではなく、「見て」間違えたのだ。
この発見を受け、同チームは「capability curriculum」という新しい学習手法を提案。知覚→テキスト推論→視覚推論の3段階に段階的に訓練するアプローチで、Qwen3-VL-8Bにおいて精度+1.46%、推論トレース長20.8%短縮を達成した。従来の「易しい→難しい」という難易度軸に加え、「どの能力を訓練するか」という直交する軸を導入した点がポイントで、両者を組み合わせると平均スコアが58.6→63.0に向上するという。
この結果はQwen2.5-VL、Qwen3-VL、InternVL3、InternVL3.5の4つのバックボーンで一貫して確認されている。
AIは正解を出しても「間違った箇所」を引用する
北京大学の研究チームが、GPTやGeminiなどの先端AIモデルが文書分析において正しい答えを出しながら、根拠として間違った箇所を引用する問題を指摘した。彼らはこれを「参考サイトハルシネーション(attribution hallucination)」と名付け、体系的に評価する初のベンチマーク「CiteVQA」を公開している。
この問題は法律や医療など規制の厳しい分野で特にリスクとなる。AIが正しい結論を導いていても、その根拠となる参考サイトが間違っていれば、実用上の信頼性は著しく損なわれる。研究チームは、AIモデルの出力を鵜呑みにするのではなく、引用の正確性も含めて検証する仕組みの必要性を強調している。
768GBのOptane DIMMで1兆パラメータLLMをローカル実行
エンスージアストが、768GBのIntel Optane DIMMメモリを使用して、Kimi K2.5(1兆パラメータ)を単一GPU上でローカル実行する試みを公開した。約4 tok/sという速度は実用的とは言えないが、超大規模モデルをローカル環境で動かせること自体が興味深い。
Intel Optane DIMMは生産終了しているものの、大容量メモリを必要とするLLM推論において、従来のGPU VRAMの壁を迂回する選択肢として改めて注目を集めている。
MiMo-V2.5-coder: 128GB環境向けの新しいコーディングモデル
jedisct1氏がMiMo-V2.5-coderをリリースした。128GBのメモリ環境を持つユーザー向けに、Qwen3.6やDeepSeek R1の代替として設計されたコーディング特化モデルで、高速な推論と信頼性の高いツール呼び出しを特徴とする。Q2量子化版がHugging Faceで公開されている。
Cider: MLXにW8A8量子化を追加しApple Siliconで高速化
Mininglamp AIのチームが、AppleのMLXフレームワークにW8A8(重み8bit+アクティベーション8bit)量子化を追加するSDK「Cider」を開発した。従来MLXは重みのみの量子化に対応しており、アクティベーションはFP16のままであった。
M5 Pro(64GB)でのテストでは、4BパラメータのVLMにおいてprefill時間が2.84秒から2.52秒に短縮。カスタムMetalカーネルをMLXプリミティブとして登録する仕組みで、MLXで動作するモデル全般に適用可能という。精度面でもWikitext2でのPPL劣化はわずか(Qwen3-8Bで9.71→9.76)。ただしINT8 TensorOpsのコンパイルにはM5以降が必要で、M4以前ではフォールバック動作となる。
SciAtlas: 科学文献の大規模ナレッジグラフ
AIエージェントがキーワード検索を超えて、構造的・トポロジーベースの推論で科学文献を横断的に理解できるようにする大規模ナレッジグラフ「SciAtlas」が発表された。複数の学術分野にまたがる研究理解を効率化することを目的としており、AIを活用した学術研究の基盤技術として期待される。