VS Code 1.118 — Copilotエージェント体験の全面刷新
4月29日、Visual Studio Codeのバージョン1.118がリリースされた。今回のアップデートはCopilotとエージェント体験に焦点を当てており、開発ワークフローの根幹に関わる変更が多数含まれている。
GitのAI共同執筆がデフォルト化
これまでオプトインだった「AI共同執筆者(co-author)」の自動付与が、チャットとエージェントワークフロー両方でデフォルトで有効になった。Copilotがファイルを変更したコミットには、自動的にCopilotが共同執筆者として追加される。設定git.addAICoAuthorで変更可能。
Agents専用アプリ(Insiders)
VS Code Insidersでは、エージェントネイティブな作業環境である「Agents App」が利用可能になった。複数リポジトリを並行セッションで扱い、マルチステップのコーディングタスクに集中できる独立したコンパニオンアプリだ。Claude Agentも利用可能で、ブラウザからinsiders.vscode.dev/agents経由でもアクセスできる。
セマンティック検索が全ワークスペースで利用可能に
これまでGitHub・ADOリポジトリ限定だったセマンティックインデックスが、すべてのワークスペースに開放された。コードの「意味」で検索できるようになり、「ユーザー認証はどこで処理している?」のような曖昧な質問に対しても、login、signIn、verifyCredentialsなど関連する用語を使うファイルを特定できる。
トークン効率の大幅改善
GitHubが6月1日からCopilotを使用量ベース課金に移行することを受け、VS Codeチームはトークン効率の改善に注力した。
- プロンプトキャッシュの最適化: Anthropicモデルで約10倍低いコストで再利用可能に。エージェントセッション開始後は、各リクエストの93%以上がキャッシュから再利用される
- Tool Search Tool: ツール群を常に利用可能な約30個のコア(88%のツール呼び出しをカバー)と遅延読み込みの残りに分割。Anthropicモデルで最大20%のトークン削減、GPT-5.4/5.5にも展開開始
- 専用検索・実行ツール: 小規模モデルで動作する検索ツールと実行ツールを新設。それぞれ約20%のトークン削減を達成
- WebSocket対応: OpenAIモデルでWebSocketモードをサポートし、12%高速化
Chronicle — チャット履歴の活用(実験的)
github.copilot.chat.localIndex.enabledを有効にすると、チャット履歴がローカルのSQLiteデータベースに記録される。以下のコマンドが利用可能になる。
/chronicle:standup— 直近24時間のスタンドアップレポートを生成/chronicle:tips— 7日間の使用パターンからプロンプト改善提案/chronicle [query]— 自然言語での履歴検索
TypeScript 7.0 Beta対応
TypeScript 7(ネイティブコードでの完全書き直し)のベータサポートが追加。VS Code自体の開発ビルドでも型チェックが約60秒から約10秒に短縮され、全体ビルドも30秒で完了するようになった。
Copilot CLIのリモート制御
実験的なリモート制御機能により、GitHub.comやGitHubモバイルアプリから、起動中のCopilot CLIセッションの進捗確認や承認操作が可能になった。
Simon WillisonのLLM CLI、0.32a0で大規模リファクタリング
Simon Willison氏が開発するllmコマンドラインツールのバージョン0.32a0がリリースされた。後方互換性を保ちながらの大規模なリファクタリングで、内部構造の整理と拡張性の向上が図られている。
同ツールはLLMとの対話をターミナルから手軽に行えるようにするもので、複数プロバイダー対応やプラグイン機構を備えている。今回のリファクタリングは今後の機能追加に向けた基盤整備という位置づけだ。
企業におけるPrivate LLM vs ChatGPTの判断基準
Moraiが「Private LLM vs ChatGPT in Business」と題した記事を公開。ChatGPTのような公開ツールとプライベートLLMの使い分けについて、実践的な判断フレームワークを提示している。
記事では、ChatGPTは実験段階や一般的なタスクに適している一方、データ主権や一貫性、システム統合が求められる段階ではプライベートLLMへの移行が必要になると指摘。「ChatGPTはツール、プライベートLLMはインフラ」という整理で、企業のAI導入段階に応じた判断軸を示している。
Qwen3.6-27B、ローカルでSVG画像生成を披露
Redditのr/LocalLLaMAコミュニティで、Qwen3.6-27Bモデル(Q6_K量子化)を使ったSVG画像生成が話題になっている。ペリカンが自転車に乗るイラストや、着物を着たカピバラが抹茶を飲むシーンなど、ローカル環境で動作するオープンモデルがここまで表現力を持ってきたことは注目に値する。
まとめ
VS Code 1.118は「AI開発環境の成熟」を象徴するリリースと言える。エージェント体験の独立アプリ化、トークン効率の体系的な改善、セマンティック検索の開放など、開発者の日常に溶け込む形でAI機能が進化している。特に使用量ベース課金への移行を前提とした効率化は、エコシステム全体に影響を与えそうだ。