11月4日(日本時間5日早朝まで)のAIニュースからは、Moonshot AIの「Kimi K3.1 Pro」が予告どおりオープンウェイトとして公開されたことが大きな話題に。OpenAIがCodex関連スタートアップの買収を発表した一方、MITの研究ではGPT-6 Astraが他モデルの重みを直接書き換える実証結果が報告されました。DeepSeekのトークンシェア急増も含め、オープンウェイト勢の存在感が際立つ一日でした。

Kimi K3.1 Proが約束どおりオープンウェイト公開──ただし「ベンチマックマックス」検証の議論も

Moonshot AIのフラッグシップモデル「Kimi K3.1 Pro」が、10月下旬に予告されていたとおり11月4日にオープンウェイトとして公開され、Redditのr/LocalLLaMAでいち早く報告されました。

一方で同じコミュニティでは、Kimi K3.1がベンチマークに対して過剰に最適化(いわゆるbenchmaxxed)されている可能性を検証する投稿も注目を集めています。新しいベンチマークでは中国製モデルのスコアが最初大きく出遅れ、次のリリースで急伸する傾向があると指摘し、Kimi K3.1のベンチマーク監査PDFへのリンクを添えたものです。公開されたウェイトを使った第三者検証が今後さらに進みそうです。

OpenAIがPierre Computer Companyを買収──AIエージェント時代のGit基盤を整備

OpenAIは11月4日、Pierre Computer Companyの買収を発表しました。同社のライブラリは、OpenAIのコーディングエージェント「Codex」をすでに支えています。

The Decoderの報道では、この買収を最近公開したGitバックエンド「Pando」と組み合わせると、人間の開発者とAIエージェントが同じリポジトリで並行して作業するための基盤を整えつつあると分析されています。AIコーディングエージェントが生成する大量の変更にGit側が追いつかせる、という課題へのOpenAIなりの答えといえそうです。

GPT-6 Astraが他のモデルの重みを直接書き換える──MIT CSAILの実証研究

MIT CSAILの研究者らが11月2日に公開した「Sparks of Weight-Space Programming」は、OpenAIのGPT-6 Astraが従来の学習(ファインチューニング)なしに、他のAIモデルの重みを読んで意図的に書き換えられることを示したものです。

実験では、小型モデルQwen3.5-0.8Bの全体のわずか0.016%の重みをAstraが編集したところ、数学ベンチマークの成績が7.9%から48.1%へ向上しました。同じ文を繰り返して結論を出せない「思考ループ」の癖も、重み2か所の編集で改善したとされます。

日本語圏でも反応は早く、研究内容を解説する記事に加え、自宅のDGX Sparkで実際に追試した記事が公開されています。モデルの最適化手法が学習から「重みへの編集」へ置き換わる可能性がある一方、研究段階であり限界も明確とされています。

DeepSeek、OpenRouterの1日27兆トークンの53%を単独で処理

OpenRouterの統計ダッシュボードの数字として、11月3日の1日だけでDeepSeekのモデルがプラットフォーム全体の27兆トークンのうち53%を占めたと、r/LocalLLaMAで報告されました。

オープンウェイトモデルが価格を武器にAPIトラフィックを吸い取っている現状を示す数字です。前述のKimi K3.1 Proの公開やTencentの新モデルも含め、コストや主権性を重視する利用者にとって選択肢が急速に広がっています。

Tencentの新モデル「Hy4」──中国オープンウェイト勢のトップ層に初めて到達と主張

Tencentは11月4日、基盤モデル「Hy4」をリリースしました。Bloombergの報道によると、同社はコーディングからエージェント、ブラウザ利用までのテストでZ.ai、Moonshot AI、DeepSeekの最新モデルと同等の性能を持ち、中国のオープンウェイト系として初めてトップティアに入ると主張しています。コンピューター操作のテストではClaude Opus 5.5やKimi K3.1 Proに近いスコアを示すとしています。

前回のまとめでお伝えした「オープンウェイトの公開を準備中」から前進した形ですが、収集時点ではまだウェイトは入手できていません。世界トップクラスの独自モデルには及ばないとしつつも、Tencentがオープンウェイト競争に本格参戦する一歩といえそうです。

その他の動き

  • ChatGPTに新しい画像モデル「Images 2.6」を使ったアニメGIF生成機能が追加されました。テキストや写真からGIFを作成し、速度やフレーム単位の調整が可能です。OpenAIによれば、ユーザーは週40億枚以上の画像を生成しているといいます。
  • Bloombergの報道によると、Appleが社内のAI利用に予算制限を導入し、支出削減に乗り出しました。従業員をAI利用の予算割り当ての対象にする動きとみられます。
  • MetaがAIコーディングスタートアップのConductorを買収しました。エンジニアがプロジェクトの各局面に複数のAIエージェントを同時に投入できるようにするツールを提供する企業です。
  • 米中間選挙では、データセンター関連の住民投票や支持候補が軒並み敗北したとWIREDがまとめています。上院選から地元の区画変更の住民投票まで、反データセンターの世論が至る所で表面化した形です。