11月3日夕のAIニュースまとめ。主役は中国の勢力図だ。業界紙の報道により、DeepSeekの次世代モデル「V5」がHuaweiのAIチップ「Ascend」で事前学習される計画であることが明らかになった。米国の輸出規制が続く中、国産チップの活用が「推論」から「訓練」へ広がるなら、中国AIの計算資源自給は大きな節目を迎える。同じく中国勢では、QwenのGitHubリポジトリに次期モデル群のIDが流出した。米国側ではPalantirの決算見通しに成長減速のシグナルが灯り、OpenAIはバグバウンティの増額とセキュリティ強化を相次いで発表している。

DeepSeek V5、Huawei Ascendでの事前学習を計画──推論から訓練へ

中国の業界紙STAR Market Dailyの記者が業界サプライチェーンの複数筋から得た情報として報じたところによると、DeepSeekの次世代大規模モデル「DeepSeek V5」は、Huaweiの「Ascend」チップを使って事前学習される計画だという。これまでAscendチップはDeepSeek大規模モデルの推論用途が中心だった。

両社の協力関係は以前からある。2025年の春節には、Huaweiの上層部の指示を受けてHuawei Cloudが貴安(グイアン)データセンターに3,000基以上のAscendチップを展開し、数日のうちにDeepSeek-V3/R1のデプロイと検証を完了したとされる(浙江大学の方興東(Fang Xingdong)氏の著書『The Rise of Ascend』の記述として)。

なぜ重要か。米国の半導体輸出規制が続く中、中国のAI開発にとって計算資源の確保は最大の制約になっている。その供給をNVIDIA製チップから国産のAscendへ移す動きが、推論にとどまらず事前学習にまで広がれば、規制の実効性そのものを揺さぶりかねない。ただし現時点では「計画」との報道であり、学習の規模や時期は公式には確認されていない。

Qwen4-max・qwen4-omni-120bがGitHubリポジトリに流出──262kコンテキスト

AlibabaのQwen公式CLI「Qwen Code」のGitHubリポジトリに、未発表モデルのIDが現れたとRedditで報告された。プルリクエストのベンチマーク記録には「qwen4-max」「qwen4-plus」「qwen4.5-max」「qwen4-coder-plus」「qwen4-max-2026-10-01」「qwen4-omni-120b-think」などのIDが登場し、いずれもコンテキスト長は262,144トークンに解決されるという。うちqwen4-omni-120b-thinkはテスト用fixturesでセッションモデルとして既に使われているとされ、単なる想定上のIDではなく実在を示唆する。

先日はQwen責任者が「将来のQwen 4.0およびQwen 5.0もオープンソースであり続ける」と公式声明を出したばかり。今回はその続報にあたり、コミュニティでは「Qwen3.8 Flash Nextの後継が近い」との観測も出ている。あくまでリポジトリ上の痕跡が根拠で、公式発表はまだない点には留意したい。

PalantirのQ4見通し、アナリスト予想は上回るも成長率は鈍化へ

Bloombergが報じたところによると、米軍も主要顧客に持つAIデータ分析企業のPalantir Technologiesは、12月期(第4四半期)の売上見通しを約26.5億ドルとし、アナリスト平均の24.6億ドルを上回った。企業向け(commercial)セールスの好調さが背景という。

ただし注目すべきは伸び率の方だ。この見通しは前期比で約15%増にとどまり、直近四半期に享受した約20%増を大きく下回る。この指標では2025年第2四半期以来となる低い伸びになる見込みで、AI期待を背に急成長してきた同社に、初めて減速のシグナルが灯った形だ。

OpenAIがバグバウンティ報酬を増額──Cathedral Systemsとセキュリティスプリントも

OpenAIはセキュリティバグバウンティの報酬を引き上げると発表した。独立系セキュリティ研究者を対象に、報告の品質(report quality)や継続的な貢献(loyalty)、優先キャンペーン(priority campaign)へのボーナスを新設する。

あわせて同社は、Cathedral Systemsと協力した次の内部セキュリティスプリントを準備中だと明かした。AIを使って自社の防御を能動的に試験・強化する取り組みで、「AIで守る」体制づくりを進めていることを示す動きだ。

Apple Watchの会話リワインドAIがベータテスト開始

Apple Watchの新しいAudio Intelligence機能がベータテストに入った。会話を巻き戻して相手が言った内容を確認できる「リワインド」と、会話の要点をまとめる「レキャップ」が主な機能で、「誰かが言ったことを思い出す」あるいは「会話のメモを取る」といった用途に向けたものだという。ウェアラブルならではの音声AI活用がどこまで実用になるか、注目される。

LLMが他のモデルの重みを直接読み書きする「Weight Space Programming」

研究動向からは、AIニュースレターのLatent Spaceが「Weight Space Programming」と紹介する発見が注目を集めている。十分に賢いモデルに、より小さいモデルのニューラルネットワーク重みを直接「読み書き」させるというものだ。従来の自律的なモデル訓練には、PyTorch/JAXのコードを書き、損失曲線を読み、評価結果を見てカーネルやデータを最適化する――といった人間のMLエンジニアリングが伴っていた。この工程を、LLM自身が重みレベルで直接扱うことで置き換えられる可能性を示す。

具体例として挙げられているのは、(1)重みだけを見てモデルの挙動を判定する、(2)失敗トレースからバグをワンショットで修正する、(3)50ステップ程度の指示で特定の方向に改善する、(4)ゼロから重みを書き下ろし、独立に学習されたモデルに勝つ場合がある――といったものだ。コンパイル済み実行ファイルの1と0を直接読むような試みで、独立した再現も出始めているという。ただし対象はまだ非常に小さいモデルであり、効果を過大に受け取らないよう警戒する声もある点は留意したい。