Googleが自己改善エージェント基盤「Harness2」をオープンソース公開

Googleが、AIエージェントを時間とともに自己改善させていくオープンソース基盤「Harness2」を公開した。公開を伝えるRedditのスレッドによると、Harness2は「あらゆるAIハーネスを、自己改善を続けるシステムに変える」ものという。

ここでいうハーネスとは、モデルの周囲にある要素すべてを指す。システムプロンプト、ツール、メモリ、スキル、サブエージェントなどが該当し、従来は人間が一度設計した構成をエージェントがすべてのタスクで使い続けるのが前提だった。

Harness2ではこの設計作業をエージェント自身が担う。タスクごとにハーネスの変更を提案し、複数の候補版を実際に実行して比較したうえで、最良の構成を選び取っていく。プロンプトやツール構成の改善を人間が介在せず回せるため、運用が長く続くほどエージェントの出来が変わってくる可能性がある。先週「AIは再帰的自己改善に到達しつつある」というGoogle関係者の発言が話題になったばかりだが、その部品が実際に公開されつつある形だ。

未解決の科学問題に挑ませたら──135本中0本が条件をクリア

米エネルギー省(DOE)国立研究所の科学者らと共同で作られたベンチマーク「Into the Unknown」が公開された。AIエージェントに科学論文1本と追究すべき研究の方向性を与え、フォローアップ論文を執筆させるもので、出題側の科学者自身も答えを知らない「開かれた問題」で能力を測る点が特徴だ。

各国立研究所の科学者が、自分の研究から切り出した未公表の研究方向と、成果物が満たすべき条件を提供。量子コンピューティング、プラズマ物理、計算化学、材料科学、科学機械学習の領域にまたがる。

9つのフロンティアエージェントがそれぞれ15本、合計135本のフォローアップ論文を執筆した。しかし、出題者が定めた条件をすべて満たした論文は1本もなかった。正解の存在しない研究課題をどう評価するかという難問に対し、条件をルーブリック化して評価可能にした設計自体は、今後の研究能力評価の土台になりそうだ。

エージェントの作業進捗を再利用──CarryOnでトークン消費を最大51.9%削減

長期タスクのエージェントには、結果がファイルやタスク状態として残っていても「どう作業したか」を履歴から見直してしまう非効率がある。Hugging Faceのデイリーペーパーで紹介された「CarryOn」は、この問題に取り組むオブジェクト指向のコンテキストランタイムだ。

再利用可能なタスク進捗をオブジェクトとして保持し、エージェントは対話履歴を圧縮し直す代わりに、その進捗から再開する。OSWorld 2.0とBrowseComp-Plusの2つのベンチマークで、性能を5.8および7.0ポイント向上させながら、総トークン消費をそれぞれ51.9%と22.9%削減したと報告されている。

Economistが「AI業界の巨大な債務」を報道、Schwab CEOはAI株取引に懐疑

金融面では、AI業界の資金調達構造を巡る報道が目立つ。英Economistは10月18日、「AI業界の巨大な債務が投資家を神経質にさせている」と題する記事を公開した。巨額の設備投資を負債で賄う業界構造への警戒感がテーマになっている。

投資家の側にも慎重論がある。米証券大手チャールズ・シュワブのCEOがWSJの取材に応じ、「眠っている間にAIエージェントが株を売買する」ような運用に対して懐疑的な見方を示した。AIエージェントの金融への応用は、性能よりも信頼の壁に当たっている状況がうかがえる。

ガートナー2026年の日本──RAG、Newオンプレ、SREは「幻滅期」へ

ガートナーは、2026年の日本におけるクラウドとAIのハイプサイクルを発表した。Newオンプレミス、RAG、SREが「幻滅期」に入る一方で、「過度な期待」のピークに立つ5項目も示された。

ハイプサイクル上の幻滅期とは、当初の期待が現実の成果と調整されるフェーズを指す。RAGが「当たり前の技術」として成熟段階に移行しつつあるとの見方は、導入判断の材料として参照したいところだ。

LLM-jp-4.1をVRAM 6GBの1台で──32B-A3Bが8Bより速かった理由

国立情報学研究所の日本語大規模モデル「LLM-jp-4.1」を、VRAM 6GBのGPU1枚(RAM 32GB)搭載機で動かした検証がZennに公開された。公式の4bit量子化版(Q4_K_M)の8Bと32B-A3Bを比較したところ、ファイルサイズが約20GiBある32B-A3Bの方が速く生成できたという。

鍵はMoE(専門家混合)アーキテクチャの特性を活かした「--n-cpu-moe」設定だ。エキスパート部分の大半をCPU側メモリに置くことで17.5〜18.7トークン/秒を達成し、GPUにすべてを載せきれない8Bの12.5〜15.8トークン/秒を上回った(10月18日、コンテキスト4096〜16kでの計測)。

パラメータ数の大きいモデルの方が速いという一見逆説的な結果は、ローカル推論の速度が「モデルのサイズ」よりも「メモリ配置の設計」で決まることを示している。