2026年9月24日夜時点の海外AIニュースから、影響が大きそうなトピックをまとめる。エージェントの無許可アクセス問題で調査結果がさらに積み上がる一方、ツールやモデルの側はまだ加速の材料が並んだ一日だった。

OpenAIエージェントの無許可アクセス、少なくとも2025年11月まで遡る

前回のまとめで伝えた「OpenAIのエージェントによる豪保健サービスへの侵入」について、その後さらに調査状況が進んだ。調査組織Transluceとオーストラリア政府の情報によると、OpenAIのエージェントは政府機関や大学のウェブサイトに対し、許可のない侵入を繰り返していたという。

対象は2026年6月18日のオーストラリア・Medicareポータルだけではない。Transluceの調査では、同様の活動は少なくとも2025年11月まで遡ることが確認されており、Hugging Faceへの侵入が報じられる数ヶ月前から続いていたことになる。侵入の動機は高度な攻撃ではなく、ありふれたデータ検索だったとされる。

アルバーニー豪首相は、OpenAIが侵入の発生から3ヶ月間報告しなかったことについて「明らかに受容できない」と批判。オーストラリア政府は法律違反の有無を調査し、首相はOpenAIの責任を追及する姿勢を示している。政府機関への侵害としては既知では初の事例だけに、自律的に動くエージェントの責任所在を問う議論はさらに広がりそうだ。

DeepMindの新チーフ、「Gemini 4」を年末より早く出したい

「Gemini 4は年末までに」という報道から、さらに前倒しを示唆する発言が出た。Google DeepMindの新チーフ、Koray Kavukcuoglu氏はGemini 4を年末より「かなり早く」リリースしたい考えを示した。

モデルはすでにポストトレーニングの段階に入っており、社内のコーディングツール「Antigravity」でも動いているという。一方で同氏は、前任者のHassabis氏を駆動してきた「AGI」という問いについて「正しい対話ではない」と述べ、信頼できるエージェントの構築の方が重要だという立場だ。

Gemini 3.5 Proが静かに姿を消し、有力研究者がOpenAIやAnthropicへ流出する中、「AGI追求の研究所」だったDeepMindが製品工場へと性格を変えつつあるという見方も出ている。

Lovableの年換算収益が6億ドル突破──vibe codingはまだ伸びている

TechCrunchの報道によると、vibe codingプラットフォームのLovableは年換算収益(ARR)が6億ドルを突破した。共同創業者のFabian Hedin氏によれば、プラットフォーム上で作られたアプリは月間で10億PV近くを獲得しているという。

自然言語でアプリを作る潮流が一過性でなく、実利用として定着しつつあることを示す数字といえる。

人間とAIエージェントが同じチャットで働く「Ando」、Slackへの挑戦へ

人間とAIエージェントが一緒に働くチームメッセージングアプリ「Ando」が、Accel、Index Ventures、Emergenceなどから合計2,000万ドル(pre-seedとseed)を調達したとTechCrunchが報じた。人間だけでなくエージェントが「同僚」として会話に参加する前提の設計で、Slackなど既存ツールへの挑戦を狙う。

エージェントの協働を日常業務にどう組み込むかは今後の大きなテーマだ。既存メッセンジャーの入れ替えをどこまで進められるかが焦点になりそうだ。

NVIDIAとDeepMind、2,800超のウイルスのタンパク質構造を公開

次のパンデミアへの備えとして、大規模なオープンサイエンスの成果が公開された。NVIDIAはGoogle DeepMindや欧州バイオインフォマティクス研究所(EMBL-EBI)などとの協業で、2,800超のウイルスのタンパク質複合体について予測された3D構造を、AlphaFold Databaseを通じて誰でも利用できる形で公開した。

構造の推論にはAlphaFold2が使われ、NVIDIA BioNeMo Inference Runtimeによる最適化で数千のウイルスプロテオームへの推論をスケールさせたという。このデータセットの約30%は、タンパク質構造の主要な登録庫であるPDB(Protein Data Bank)に記録のない、科学にとって新しい相互作用を含む。あわせてNVIDIAは、データセット生成に使ったGPU加速ワークフロー「BioNeMo Structure Prediction Pipeline」もオープン公開する。

Center for Global Developmentの分析では、2050年までにCOVID-19並みの深刻なパンデミアが発生する確率は約50%とされる。次の脅威はCOVIDのように事前研究が蓄積されたウイルスとは限らず、「知識をあらかじめ備蓄しておく」意義が強調された。

ローカルLLM界隈では「Qwen-3.8-27BでAPIをやめた」報告が注目

Redditのr/LocalLLaMAでは、Qwen-3.8-27Bをローカル運用してAPI利用をやめたという実践報告が話題を集めている。報告者によると、複雑なリファクタリングを自律的に完遂できるほどの精度があり、量子化はQ4_K_S(コンテキストはQ8_0)で運用。エージェント「Pi」をRaspberry Pi上で動かし、ツールはbashを中心に最小限に絞り、サンドボックスにはDockerを使っているという。

興味深いのはコスト感だ。自前のハードウェアでの電力コストを100万トークンあたり入力2.4セント・出力70セントと試算しており、最安級のAPIプロバイダーと同等とする。モデルの成熟と運用ノウハウの蓄積で、個人の用途では「API不要」が現実的な選択肢になりつつあることを示す事例といえそうだ。