今日の海外AIニュースから、小型オープンモデルの最新リリース、銀行業界の採用変化、教育現場の規制強化など6つのトピックを整理します。

MiniCPM5-2Bと8.6万サンプルのRLデータセットが公開

OpenBMBは9月7日、小型言語モデル「MiniCPM5-2B」を公開しました。MiniCPM5-1Bに続くシリーズ2弾目で、2Bパラメータのdense Transformerです。オンデバイス実行やリソースが限られた環境を想定しており、コーディング・数学・長文脈理解・ツール利用・エージェント型タスクで優位性があると説明されています。2Bクラスのオープンソースモデルとして最高性能をうたい、4Bクラスのモデルとも互角に競合するとしています。RedditのLocalLLaMAコミュニティでは、Artificial Analysis Intelligence Index v4.2で15点を記録し、4B以下のオープンウェイトモデルで最高スコアになったことが話題を呼んでいます。

合わせて公開されたのが、強化学習(RL)向けデータセット「UltraData-RL-2609」です。数学・コード・長文脈・知識の4領域をカバーする85,995サンプルで、すべてのサンプルが検証可能な報酬(verifiable reward)を持つよう設計されています。内訳は数学37.7%、コード27.5%、長文脈21.0%、知識13.8%で、回答の正誤を機械的に判定できる形式に統一されています。MiniCPM5-2Bの後訓練(RL段階)での中核データセットであり、このデータで訓練したモデルは数学ベンチマークAIME 2025で61点から約300ステップのRLで81点、最終チェックポイントでは86点に到達したと報告されています。

2Bという小さなモデルでも、質の高い検証可能データをそろえれば推論能力が大きく伸びる──ローカルLLMの開発手法として参考になる結果です。

OpenAI「AIリサーチインターン」達成──一方で拡張速度に内部の警告

OpenAIは、自社の研究業務におけるAIエージェントの利用状況を報告し、人間の1労働日あたりAIが3.1労働日分の作業を処理していると明らかにしました。「自動化されたリサーチインターン」という目標に到達したとしています。

一方、同社のチーフサイエンティストPachocki氏は、どの研究所もアライメントとモニタリングについて、最大速度でスケーリングを続けるのに十分な把握を得られていないと警告したとThe Decoderが伝えています。今週報じられた同氏の「AIは異質な心」という比喩と合わせると、OpenAI内部からも拡張ペースへの慎重論が続いていると読めます。研究の自動化が進む数字と、その安全性への警鐘が同時に出ている点が象徴的です。

UBSは2027年からAIスキルを「採用の条件」に

スイスの銀行大手UBSは、2027年からグローバル・バンキングおよびマーケッツ部門の新卒・インターン採用でAIスキルを必須要件にすると発表しました。応募者は面接の中で、AIをどう活用して成果と効率を改善しているかを実際に示すことが求められます。

スペインのサンタンデール銀行もすでに高度なAIユーザーの採用を進めており、モルガン・スタンレーは欧州の銀行業界で5年以内に20万件を超える職が失われると予測しています。「AIスキルがあれば望ましい」段階から「なければ採用しない」段階への移り変わりが始まった形で、他業界への波及が注目されます。

ニューヨーク市、公立校の中学修了までAI使用を禁止

ニューヨーク市は、公立学校で中学修了(8年生相当)までのAIツール使用を禁止すると発表しました。Axiosの報道によれば、ロサンゼルスなど他の大都市でも禁止・制限の動きが広がっており、教育現場でのAIバックラッシュが具体的な政策になりつつあります。

先週「米最大2学区がAI利用を停止へ」と報じられた動きから一歩進み、大都市全体での明確な禁止に踏み込んだ形です。全面的な禁止と「適切な使い方」の教育の間で、各学区の判断が分かれ始めています。

ChatGPTがナイロビの「論文代筆」産業を壊滅させる

The Decoderは、ケニアのナイロビでChatGPTが外国学生向けの学術論文代筆ビジネスを丸ごと消滅させたと報じています。ナイロビではこれまで、外国の学生向けに学術論文を代筆するビジネスが一つの産業として成り立っていましたが、誰でも使える生成AIの登場によってそのビジネスモデル自体が成立しなくなったというものです。

AIが「新しい仕事を生む」という話はよく聞きますが、既存の産業を丸ごと消す側の実例として、労働市場への影響を考える上での材料になりそうです。

米国のAI政策で「人気」と「不人気」が判明──5万6,000人調査

シンクタンクCenter for Shared AI Prosperity(CSAIP)は、5万6,000人の米国人を対象に79のAI関連政策アイデアについて意見を聞く大規模調査を行いました。

その結果、AIによる経済的混乱への対策では、職業再訓練や自動化で影響を受けた労働者への補償、既存の社会保障の強化などが広く支持されていることが分かりました。支持上位は「見習い制度の拡大」(+66)、「自動化で職を失った人への退職金」(+63)、「セクター別の職業訓練」(+60)。一方、下位は「米国ソブリン・ウェルスファンド」(-51)、「分配利益への課税」(-33)、「ユニバーサル・ベーシックインカム」(-33)でした。

同センターは「人気のある政策は効果的な政策と同じではない」と注記しており、中間選挙に向けたAI政策議論の地図として活用されそうです。

まとめ

2B級モデルの高性能化、採用要件としてのAIスキル、教育現場での禁止。実装を進める側と、その影響を制御しようとする側の動きが同時に進んでいる──今日のニュースはその対比がくっきり見える1日でした。