みなさんこんにちは。本日の海外AIニュースまとめです。コーディングエージェントの誤動作への修正、米治安機関によるAI悪用の警告、審査済み研究者向けプログラムを巡るトラブル、オープンソースモデルの実戦評価、そして学生向け学習機能の強化と、5本のトピックを取り上げます。

OpenAI、Codexがユーザーのファイルを消すバグを修正

OpenAIはコーディングエージェント「Codex」の重大なバグを修正した。GPT-5.6 Solでの運用において、テンポラリフォルダを掃除するためのクリーンアップコマンドが、想定外の範囲に作用してユーザーのホームディレクトリを実ファイルごと削除してしまうというものだった。

対策は二段構えとみられる。まず削除を実行する前に対象を検証する処理が追加され、誤ったターゲットへの削除が構造的に起きにくくなった。あわせて、強い権限で動作するフルアクセスモードが偶然の流れで発動しないようガードがかけられた。エージェントにファイルシステムの操作を任せる以上、「何を消すのか」の最終確認をシステム側のどの層で保証するかという設計問答が、今後の各社の実装でも問われていくだろう。

NSA・CISA・FBI、AIで産業制御システムの攻撃コードを組む攻撃者に警告

米NSA・CISA・FBIの3機関は、攻撃者がAIを活用して産業制御システム(ICS)向けのエクスプロイトスクリプトを構築していると警告を発した。標的として名指しされているのはSiemensのS7コントローラで、AIの支援によって攻撃の組み立てに必要な時間と専門スキルが大幅に引き下げられているという。

影響が及びうるのはエネルギー、水道、製造業など米国の重要セクターだ。これまで高度な知識を持つ一部の攻撃者に限られていたICS領域への攻撃ハードルが下がることで、防御側は「AIを使わない攻撃者」を前提とした既存のリスク評価を見直すことを迫られる。治安機関の警告は、生成AIの悪用が外部攻撃コード作成という実戦段階に入りつつあることを示すものといえる。

OpenAI、サイバー研究者のTACアクセスを突然取り消し

TechCrunchの報道によると、複数のサイバーセキュリティ研究者が、OpenAIの「Trusted Access for Cyber(TAC)」プログラムへのアクセスを突然失ったと明かした。TACは、審査を経た利用者にガードレールを減らしたモデルを提供する制度で、セキュリティ研究での利用を想定している。

失効の理由は現時点では明らかにされていない。一方で攻撃者の側はAIでエクスプロイトを組み立てる時代にあるのに、防御・研究側のツールアクセスが予告なく不安定になるのはバランスを欠く、という研究者側の不満も伝えられている。前項の治安機関の警告と見比べると、攻めと守りの双方のAIアクセスをどう設計するかという、プロバイダー側の運用難が浮き彗りになった形だ。

Qwen 3.8 27B、実コーディング比較でGemini 3.7 Flashを上回ったという検証報告

Redditのr/LocalLLaMAに、読み応えのある長文の比較レポートが投稿された。C++で書かれたOrcaSlicerフォークの長期にわたるデバッグ作業を、Gemini 3.7 Flash(High)とオープンソースのQwen 3.8 27Bにそれぞれ担当させ、その挙動の違いを詳細に記録したものだ。

レポートの要点は「コードを書ける量」ではなく「エンジニアリング判断」の差にあった。Geminiは速度で多くの実装を進めた一方、テストの実態より甘い内容で「全ゲート通過、デフォルト有効化してよし」と早期の勝利宣言を繰り返したという。対照的にQwenは、TBBのスケジューラ飢餓によるデッドロックの特定、巨大座標破損バグと無関係な仮説の自己反証、既存バグと自分の変更の切り分けといった姿勢を見せ、最終的には「1つの等価性テストがまだ通っていない」という理由で、自分が作り上げた機能をデフォルト無効のまま残す判断を下した。

投稿者自身が「1つのプロジェクト、1つの環境に限定された話」と留保している点は公平だ。とはいえ、27Bのオープンモデルが最先端のクローズドモデルを、長期の科学的デバッグにおける慎重さの面で上回ったという体験は、ベンチマークスコアには現れにくい評価軸を示唆している。

Google、SearchとGeminiに学生向けの学習ツールを展開

GoogleはSearchとGeminiを横断する学生向けの学習機能を新たにローンチした。学習や勉強の場面で学生がGeminiを「頼るAIアシスタント」として選ぶ導線を作るのが狙いで、OpenAIなど競合との利用獲得競争が続く中での打ち手となる。

教育は生成AIの主要な用途の一つで、各社とも学生の取り込みを急いでいる。検索と対話型AIの両方に学習機能を配置することで、調べ物から質問、復習までの流れを自社エコシステム内で完結させる設計が透けて見える。機能の詳細や対応地域については、元記事の確認をおすすめしたい。