8月14日のAIニュースをお届けします。今日は推論の高速化、価格の方針転換、大手の機能整理、そしてコンピュータビジョンの新しいアプローチと、四つの違った方向の動きが揃いました。
OpenAIが「Ultrafast」モード ― Cerebras協業で最大14倍
OpenAIは、新しいAPIサービスティア「Ultrafast」のプレビューを公開しました。対象は「GPT-5.6 Sol」で、推論インフラにCerebrasを採用し、最大で従来の14倍・秒間750トークンという出力速度を実現するとしています。
秒間750トークンは、出力がほぼ瞬時に画面に流れてくる体感に近い水準です。これまでOpenAIの推論は自社基盤が中心でしたが、CerebrasのウェハスケールチップというNVIDIA系GPUとは別系統のハードウェアを公式ティアとして組み込んだ点が新材料です。エージェントが複数回の往復を繰り返す用途では、1往復あたりの待ち時間が縮まるほど全体のターン数と体感が大きく変わるため、単なる「速さ」以上の影響がありそうです。
ただし現時点ではプレビュー提供で、利用条件や価格の詳細は改めて公開される見込みです。
DeepSeek、V4 Pro改善版とagent「Harness」のOSS化、そして大幅値上げ
前回(8月13日)に「V4-Pro公開と同時に値上げ」をお伝えしたDeepSeekですが、その後も動きが続いています。
まず、旗艦モデル「V4 Pro」がテスト段階を終えて正式リリースされ、改善版(0813)が公開されました。あわせて、agent構築ソフトウェア「Harness v0.1」をMITライセンスでオープンソース化しています。
一方で価格の話はより大きなものになりました。ピーク時間帯の新料金は現行の4倍を超え、とくにキャッシュヒット時の単価は6倍に跳ね上がります。同じファイルを繰り返し読み込むagent用途では、このキャッシュ価格の上昇がコスト構造に直撃します。新価格は8月16日に発効します。
報道では、この値上げを「上場(IPO)準備に向けた収益化の動き」と読む向きがあります。とはいえ、主要な競合に比べればDeepSeekの料金は依然として安く据え置かれています。
公開周りも少し混乱しました。0813改善版は一時的に公開停止となったのち再公開され、コミュニティではunslothがGGUF量子化版を素早く出しています。
上場前の「営業強化」はOpenAIも同じ
DeepSeekのIPO観測と重なるように、OpenAIも1年足らずで2人目の最高収益責任者(CRO)として、Wizの社長兼COOだったDali Rajic氏を採用しました。前回のCROは昨年12月に就任した元Slack CEOのDenise Dresser氏です。AI業界全体で「営業体制を強め、次は資金調達の市場へ」という流れが同時に起きている印象です。
Microsoft、Copilotを「シンプル化」して複数のAI機能を廃止
MicrosoftはCopilotの方針を見直し、これまで分かれていた消費者向けとビジネス向けのアプリを一つに統合します。あわせて、AI生成のポッドキャスト、Group Chats、Deep Research、そして「Mico」キャラクターを廃止すると発表しました。
各社がこぞってAI機能を増やした反動で、今は「何が本当に使われるか」を絞り込む段階に入ったようです。アプリの統合は体験を一本化し、機能の廃止は投資対効果の見直しと読めます。Copilotを、散発的な機能の寄せ集めから一本化された助手へと整理する意図が見えます。
SenseNova-Vision ― 7Bで「コンピュータビジョンを一つの生成問題に」
少し毛色の違う話題です。コミュニティで話題になっていた「SenseNova-Vision」は、7BサイズのMoTモデル(Apache 2.0ライセンス)です。特徴は、物体検出、各種セグメンテーション、深度推定、OCR、キーポイント、表面法線、カメラ姿勢、さらにはマルチビューの3D再構成までを、タスク固有の予測ヘッドやデコーダを置かずに「一つの重みファイル」でこなす点です。
ユーザーは自然言語で指示を出し、テキストか画像、あるいはその両方を出力として受け取ります。通常ならCOLMAPなどの専用ツールが必要なマルチビュー3D再構成を、1つのプロンプトで処理できるのは確かに目を引きます。5000万件のinstruction-responseペアで訓練され、GitHubとHugging Faceで重みだけでなく学習パイプラインも公開されています。
ただし実行にはハードルがあります。フルのWebデモには80GB GPU、ベンチマークには8x80GBが必要とされており、一般的なコンシューマGPUでは動きません。7月8日のリリースということで、まだ粗い部分も残っているようです。
