エージェントAIのセキュリティ標準「SAFE」が120社体制で始動
Black Hatカンファレンスの開幕に合わせ、NVIDIAやCisco、CrowdStrike、Hugging Face、Red Hatらが参加する「Open Secure AI Alliance」が、エージェントAIのサイバーセキュリティを強化する新ガイドラインの提案を発表した。現在120以上の組織が加盟する同連合は、Linux Foundationと共同で「SAFE(Shared AI Findings Exchange)」と呼ぶガイドラインの公開コメント募集を始めている。
SAFEが狙うのは、エージェントAIで起きたインシデントやニアミスを機密裏に収集・分析し、影響を受ける関係者に通知し、繰り返し起こる制御の失敗を特定したうえで、証拠に基づく運用推奨をエコシステム全体に還流することだ。連合は、防御側がエージェントの速度で動くには信頼できるエコステムが脅威インテリジェンスを共有するのが最善としており、個社の事象を集団の防御力に変える枠組みを描いている。
注目は、ガイドラインと並んで加盟各社がオープンソースツールを一斉に公開した点だ。AIエージェントは単なるモデルではなく、アイデンティティ制御、ハーネス、ガードレール、ログ、評価からなる「システム」であり、脆弱性スキャンだけでは守りきれない、という問題意識が共有されている。
NVIDIAはエージェントの挙動をテスト・監査しやすくする研究ハーネス「NOOA」や、エージェントが触れる範囲を制限するランタイム「OpenShell」、LLMの脆弱性スキャナー「Garak」などを公開。Amazonは新規加盟と同時にエージェント構築ツールキット「Strands Agents」と認可言語「Cedar」を、MicrosoftのAIレッドチームは自動化ツール「PyRIT」や「RAMPART」「Clarity」「Assert」を、Cloudflareは脆弱性発見ハーネス、Capital Oneは「VulnHunter」を、それぞれオープンソースとして提供した。Uberは1日20万セッションを処理するエージェント検知・対応システム「ADR」の主要コンポーネントを公開し、アイデンティティ層ではOktaやPalo Alto Networks、Red Hatが、リカバリー層ではLangChainがフォールバック機能で貢献している。「セキュリティはレイヤーで最も強くなる」という考えが、エージェント時代の防御スタックとして形になりつつある。
DeepSeek-V4-Flash-0731、ローカルで100万トークンコンテキスト到達
先月末に公開されたDeepSeek-V4-Flash-0731を手持ちのハードウェアでどこまで動かせるか――コミュニティでの検証がさらに一段進んだ。LocalLLaMAの報告では、RTX 5090(32GB)と256GBのDDR5メモリを組み合わせたデスクトップ環境で、vLLMのCPU/RAMオフロードを用いてコンテキスト長100万(1M)のフル実行を達成したという。prefillで毎秒約800トークン、デコードで毎秒15トークン以上を記録し、エージェント用途のコーディングにも耐える水準とされている。
報告者は、推測デコーディング(DSpark)の受け入れ率がスループットをほぼ一対一で左右することを実測し、推論中と通常生成でドラフト深度を切り替える動的制御が「残された最大の最適化」になりそうだと指摘している。
同時期、Antirez氏の「DwarfStar」に着想を得た小規模エンジン「QuarkStar」も公開された。Vulkan(Linux)とMetal(Apple Silicon)をネイティブで支持し、Qwen3.6-35B-A3Bを16GB環境で完全にオンメモリ実行できる。開発者のAMD BC-250(約150ドルの中古ボード、16GB統合GDDR6)では、2Kコンテキストでデコード約82トークン/秒を記録したという。数千ドルの専用ハードがなくてもフロンティア級の性能に近づける道が、少しずつ整備されつつある。
日本語圏でも、DeepSeek-V4-Flash-0731をAMD Instinct MI300X「1基」で本番運用する構成とパッチをまとめた実証リポジトリが公開され、FP8移植の落とし穴とオンプレ運用の経済性が議論されている。
Apple対OpenAI、機密持ち出しの調査が拡大
AppleがOpenAIを巡る営業秘密調査を拡大している。新しい法廷提出書類でAppleは、追加の元社員が機密情報を保持・アクセスしていた可能性を指摘した。対象者の範囲が当初の想定より広がっているとされ、現時点では相手側の反論や最終的な帰着は確定していない。訴訟の経過を見極める段階だ。
Anthropic向け360億ドル超の債務ファイナンス、Blackstoneが打診
AnthropicがGoogleのチップ調達を賄うための大型資金調達が水面下で動いている。Blackstoneが投資家向けに行った初期打診では、最低360億ドル規模の債務パッケージが想定されたという。規模や構造、さらにはBlackstoneが最終的に主導するかどうかも含め、まだ調整中で変更される可能性がある。Anthropicは直近もAIクラウド新鋭Voltaとの間で100億ドル規模の契約が報じられるなど、計算資源の確保に向けた資金繰りが相次いでいる。
SK hynixとSanDisk、AI推論向け新メモリ規格「HBF」を発表
SK hynixはSanDiskとの協業で、AI推論のボトルネック解消を狙う新メモリ規格「HBF(High Bandwidth Flash)」を発表した。最大3TB/sの帯域幅を見込む。大規模モデルの推論ではメモリ帯域が律速になりやすく、フラッシュベースの広帯域メモリがコストと容量のバランスを変える可能性があるとされている。ただし消費者向けローカル環境への普及時期や価格は不透明で、当面はデータセンター向けの位置づけになりそうだ。