8月4日のAIニュースは、モデルを「いかに軽く賢く動かすか」という効率化の工夫と、AIエージェントを実社会のシステムに繋ぐ取り組みが並んだ。
Appleの「AFM3」はプロンプトごとに使うエキスパートを絞り込む
Appleの第3世代基盤モデル「AFM」(AFM3) について、そのアーキテクチャの特徴が注目を集めている。コミュニティでの議論や報道によると、同モデルは「Instruction Following Pruning(指示追従型プルーニング)」と呼ぶ手法を採用しており、モデル全体をフラッシュストレージに置いたうえで、プロンプト(入力)ごとに一度だけルーティングを決定し、そのプロンプトで使う少数のエキスパートだけを作業メモリに読み込む仕組みという。
読み込むエキスパートは1回あたり10億〜40億パラメータ程度で、常に稼働し続けるコアの共有エキスパートと組み合わせて動く。トークンごとに切り替えるのではなく、プロンプト単位で同じエキスパートを使い続ける設計とされる。
この仕組みの狙いは読み出し帯域(メモリ帯域)の節約にある。モデルの活性化パラメータの約3分の2はFFN/MLPのエキスパート重みが占めるため、たとえば活性化30BのMoEなら読み出し帯域の観点では14B相当、9Bのdenseモデルなら3B active相当に抑えられると説明されている。活性化するMLP層は全体の約20%に収まる設計とみられる。
デバイス上でLLMを動かす際、メモリ容量と帯域が最大の壁になるだけに、Appleがこの方向を本格化させていることは、オンデバイスAIの普及を考える上で一つの指標になりそうだ。
オーストラリア最大手銀行NABが、AIエージェントの本番テストに踏み切る
ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)は、エージェント型AIプラットフォームのセキュリティと運用ガードレールを間もなくテストすると、テクノロジー責任者のパトリック・ライト氏が明かした。AIエージェントが顧客の代理で銀行のスタッフやシステムとやり取りできるようにする構想で、同国の大手銀行が同技術をより広く展開しようとしている動きの一環という。
ただしライト氏は、エージェントが「何を、どこまでできるか」という境界線の設計が課題だと指摘している。金融という機密性の高い領域だけに、ガードレールなしの導入は難しい。
AIエージェントの信頼性は業界共通のテーマだ。実際、エージェントが「存在しないはずの注文を確定した」といった事例も報告されており、性能そのものよりも「実運用でどこまで委譲できるか」が問われている状況だ。
AIエージェント市場、2026年前半は「1.5万本超」の提出を分析
公開された分析によると、2026年上半期のAIエージェント市場では1万5000本以上のエージェント提出が確認されたという。「AI Agent Ecosystem Trends 2026 H1」と題されたこのレポートはエージェントの生態系を俯瞰することを目的としており、市場の急速な拡大と、すでに競争が混み合い始めている実態を浮かび上がらせている。
Alibabaが出資する3Dモデリングスタートアップ「Vast」、香港IPOを検討
報道によると、Alibabaが出資する3Dモデリングのスタートアップ「Vast」が、香港での新規株式公開(IPO)を検討しているという。3D生成・モデリング分野は生成AIの応用先として投資関心が高く、資金調達の動きが続いている。
塩野義製薬、生成AIの正答率を50%から90%へ引き上げ
日本勢の動きでは、塩野義製薬が社内実務での生成AI導入を前に進めている。同社は情報の機密性と膨大なデータ量から導入が難しいとされる製薬業界において、生成AIの正答率を50%から90%に引き上げたという。詳細な手法は限定的だが、機密データを扱う業種で生成AIを「実務に使える精度」まで最適化した点は、同種の課題を抱える業界の参考になりそうだ。