8月1日のAIニュースから、セキュリティ・研究・プロダクト・ローカルLLMの四つの論点を整理します。

Microsoft Copilotに「自己増殖するワーム」、144日経っても未修正

セキュリティ研究者が、Microsoft Copilot for Word を標的としたワーム型の攻撃を実証しました。Word文書の中に目に見えないプロンプト注入を仕込み、その文書がコピーされて新しいファイルとして再利用されるたびに、悪意のある指示が自動的に次のファイルへと広がっていく仕組みです。

Microsoft はこの問題を認識していたものの、2回にわたる報告から144日が経過しても修正されていないとのことです。Copilot のようなオフィスソフト組み込みのAIは、文書そのものをコンテキストとして読むため、文書内に埋め込まれた指示を実行してしまうリスクが構造的に付きまといます。修正の目途が立っていない点は、企業環境で Word を日常的に使うユーザーにとって軽視できない材料と言えそうです。

コーディングエージェントは研究コードを60倍速くするが、「科学が正しいか」は測れない

OpenAI と学術機関の共同チームが、コーディングエージェントに長年放置されてきた研究用ソフトウェアを整理させたフィールドレポートを公開しました。最大で60倍の高速化に成功した事例もあった一方で、参加者からは「雄弁で説得力があり、見逃しやすい形で自信満々に間違える」との指摘が出ています。

うまくいったケースでも、人間の作業は「コードを書くこと」から「出力されたコードが科学的に正しいかを検証すること」へと移り変わったといいます。エージェントは雑務を圧縮してくれるものの、最終的な妥当性の判断は引き続き人間が担う必要があるという結果でした。研究コードの近代化を急ぐ現場にとって、速度の恩恵と検証コストの増大が表裏一体であることを示す興味深い事例です。

ByteDance「Seedance 2.5」、音声付きで最大30秒の動画を一気に生成

ByteDance は、動画と音声を1パスで同時生成する動画AIモデル「Seedance 2.5」を公開しました。1クリップあたり最大30秒で、Google の Gemini Omni Flash が出力する長さの3倍にあたります。また数十単位の画像・動画・音声を参照素材として入力できるため、ブランド資産や既存の映像をベースにした生成も想定されています。

広告制作などでは、短いカットを1本ずつ繋ぎ合わせる作業を丸ごと置き換えうる可能性があると指摘されています。テキストから動画を生成する単機能のモデルから、複数の素材を束ねて長尺・音声入りで出力する段階への移行が進んでいる点が注目されます。

ローカルLLMの動き:Laguna・Gemma4・DeepSeek-V4-Flash

ローカルで動かすLLMの界隈でも、いくつか報告が上がっています。

Laguna S 2.1(Poolside) は、FP8 と NVFP4 のチェックポイントを更新し、デフォルトのコンテキスト長を100万トークンまで拡大しました。開発ワークフローで高く評価されている一方で、出力がループに陥る問題が指摘されており、今回の更新で同問題が解消されているかに関心が集まっています。

Gemma4(31B・bf16) は、ファイル編集ツールを使う場面でつまずく報告が上がっています。本来のファイル内容、特にインデントを正しく再現できず、ハーネス側に「そのコードは存在しない」と弾かれてループに陥るというもの。Goose、Copilot、Codex、Little Coder など複数のハーネスで同様の傾向が確認されたとのことで、インデントを無視する編集インターフェースが必要かもしれないという議論につながっています。

DeepSeek-V4-Flash-0731 は、34プロンプトでのワンショット評価でスコア2.7/5、コスト1.29ドル、消費753kトークンという結果が出ました。比較した Kimi K3 が3.2/5、0.44ドル、233kトークンだったため、精度・コスト・トークン効率のいずれでも K3 に後れをとる形になっています。プロバイダ側も不安定で生成のリトライが相次いだといい、リリース直後の実戦投入にはまだやや難がある印象です。