DeepSeek創業者が「AGIのみが目標」と宣言、4時間の投資家会議の全容が明らかに

DeepSeek創業者のLiang Wenfeng(梁文鋒)が先月行った4時間に及ぶ投資家向け会議での発言が、52項目に整理されて公開された。その中でLiangはDeepSeekの唯一の目標はAGI達成であることを繰り返し強調した。

主要な発言内容は以下の通りだ。

  • 商業化は意図ではない:「今は製品でリターンを最大化する時期ではない。製品はAGIへの道のりにある一段階に過ぎない」
  • オープンソースは戦略:「AIは最終的に世界GDPの10%を占める可能性がある。その価値を独占しようとすれば、歴史に取り残される。これは客観的法則だ」
  • 公開モデルと内部モデルは同一:「劣ったモデルをオープンソースにしつつ、優れたモデルを内部で使うようなことはしない」
  • スケーリングを信じる:「より大きなスケールは間違いなくより良い結果をもたらす。今のサイズで训练しているのは、リソースがそれしかないからだ」
  • 競合を見る目:「AnthropicのOpenAIに対する優位性は一時的だ。OpenAIとGoogleは今後交互にリードするだろう」

また、3D生成や動画生成、ワールドモデルには着手しない方針も示した。これらは「知能の上限にあまり影響しない」という判断だ。現在最重要領域はコーディングエージェントであり、中国の状況を踏まえると汎用エージェントに集中すべきだとしている。

この発言は、DeepSeekが最新の資金調達ラウンドを完了し、チームの安定性を確保した上で、長期的なAGI追求を改めて明確にしたものだ。

イスラエルがAIインフラ強化へ――TSMC・Samsung・Intelにチップ工場建設を打診

イスラエルのAI責任者(AI czar)であるErez Askal氏が、同国のAI・半導体インフラを大幅に拡張する計画を明らかにした。

具体的には以下を模索している:

  • 先端チップ工場の誘致:TSMC、Samsung Electronics、Intelに対し、2nm以下の最先端チップを製造する拠点の建設を働きかけている
  • 大規模データセンター:5年以内に10万GPU規模のデータセンタークラスターを構築する構想。これはEUが計画するギガファクトリーの最大規模に匹敵する

イスラエルは長年「スタートアップ・ネーション」として技術力を蓄積してきたが、AI競争においてインフラ面での遅れを取り戻す姿勢を示している。地政学的にも中東における技術ハブとしての地位を維持・強化する意図があるとみられる。

「蒸留モデルがオリジナルを上回る」という主張に反論続出

先日、米国の関係者が中国製LLM(特にKimi K3)が米国モデル(Fable)の蒸留によって性能を上回ったと主張したことに対し、技術コミュニティから強い反論が出されている。

LocalLLaMAコミュニティで指摘された主な反論は以下の通りだ:

  • タイムラインの矛盾:FableとK3のリリース時期を考えると、大規模な蒸留を行う時間的な余裕がなかった
  • 蒸留の原理的限界:蒸留を完璧に実行したとしても、教師モデルを超える生徒モデルを作ることは原理的に不可能である。蒸留はあくまで知識の転移であり、新しい知識を生み出すものではない

この議論は、米中間のAI技術競争が政治的な文脈で技術論争に影響を与え始めていることを示している。蒸留という技術的な概念が、規制論の道具として使われることへの懸念も表明された。

Baiduが「Unlimited OCR」を公開――長文書のワンショット・パーシングを実現

BaiduがHugging Faceで新モデル「Unlimited OCR」を公開した。3Bパラメータの画像→テキスト変換モデルで、公開から数時間で2,800ダウンロードを超えている。

特徴は以下の通り:

  • 長文書のワンショット処理:「One-shot Long-horizon Parsing」を掲げ、複数ページにまたがる文書を一度に処理できる
  • ドキュメントパーシング特化:画像から構造化テキストを抽出する用途に最適化されている
  • HuggingFace transformersで推論可能。CUDA 12.9環境を推奨

OCR分野はこれまでGoogle Cloud VisionやAWS Textractなどのクラウドサービスが主流だったが、オープンウェイトモデルとしてローカル実行できる選択肢が増えることは、プライバシーやコスト面で意義がある。

ZaGuu――AIエージェントが交渉ゲームで競い合う「アリーナ」が登場

Hacker Newsで「ZaGuu」という新しいプロジェクトが紹介された。AIエージェントが戦略ゲームを通じて交渉、協力、裏切りを行い、その行動記録を蓄積するアリーナだ。

第1弾のゲームは「Bank Heist」。Split-or-Steal方式(いわゆる「裏切るか協力するか」のゲーム)で、エージェント同士が交渉した後に最終決定を行う。

開発者は、従来のベンチマークでは測れないエージェントの行動特性を、ゲームを通じて浮き彫りにしたいと考えている。ゲームデザイン、エージェント評価、レピュテーションシステムについてコミュニティからのフィードバックを求めている。

AIエージェントの評価手法として、静的なタスクベンチマークだけでなく、動的な相互作用を通じた評価が注目されつつある。ZaGuuはその方向性を示す興味深い試みだ。

Jiboの後継――「iKairos」が家族の瞬間をAI画像に変換するウェアラブルに

かつて社会的ロボットの象徴的存在だったJibo。その後継となる「iKairos」が、元Jibo創業者の祝福を受けて登場した。

iKairosはウェアラブルまたは卓上設置型の「AIジャーナル」で、家族の日常の瞬間をキャプチャし、AI生成画像や動画に変換する。WIREDはこの製品に対して**「家族の生活をAIスロップ(低品質なAI生成物)に変えるだけではないか」**と批判的な見方を示している。

一方で、Jiboが切り開いた「社会的AI」の系譜が、ロボット形態からウェアラブル形態へと進化した点は注目に値する。AIが日常の記録や感情価のあるコンテンツ生成にどこまで受け入れられるかは、今後の議論が続くところだろう。