G7サミット:AI業界トップが「米国主導のAI連合」を呼びかけ、各国指導者はアクセス切断を懸念

6月17日、G7サミットの場でAnthropicのDario Amodei CEOとGoogle DeepMindのDemis Hassabis CEOが、米国を中心としたAI連合の構築を求める声を上げた。一方で、フランスのマクロン大統領とインドのモディ首相は、米国が一夜にしてAIアクセスを遮断できるリスクへの懸念を示したとTechCrunchが報じている。

この懸念は現実味を帯びている。先日のAnthropicブラックアウト事件(一部地域でのモデル提供停止)が、各国に「米国製AIへの依存リスク」を痛感させた形だ。CNBCの報道によると、Amodei氏とHassabis氏は協調的な国際フレームワークの必要性を強調し、規制のバラつきが安全保障上のリスクを生むと指摘した。

米国主導の連合構想と、それに対する主権的な懸念が同時に表明されたことは、AIガバナンスをめぐる議論が新たな段階に入ったことを示唆している。

トランプ政権、AI企業への政府出資スキームを協議

Semaforの報道によると、トランプ政権の関係者がAI企業に対する政府の持分取得(equity stakes)の構造について協議していることが分かった。AIインフラへの公的投資を強化する一方で、政府が企業の意思決定にどの程度関与すべきかという議論が焦点になるとみられる。

詳細は今後の展開を待つ必要があるが、AI分野における産業政策の在り方として注目すべき動きだ。政府の出資が実現すれば、民間AI企業と政府の関係に大きな変化が生じる可能性がある。

ワールドモデルのOdysseyが14.5億ドル評価で資金調達 — Amazon、Nvidia、AMDが出資

LLMに次ぐ技術として注目される「ワールドモデル」のスタートアップOdysseyが、Amazon、Nvidia、AMDらの出資を受けて14.5億ドルの企業評価額に達した。TechCrunchとThe Decoderの報道を総合すると、本轮調達額は3億1000万ドル規模とみられる。

ワールドモデルは、物理環境のシミュレーションや3D空間の理解を目的とした技術で、自律ロボットの訓練やゲーム・映像制作への応用が期待されている。LLMだけでは扱えない空間的・物理的な文脈理解を補う技術として、大手テック企業がこぞって投資を加速させている。

Odysseyは本轮調達により、ワールドモデル分野の有力プレイヤーとしての地位を確固たるものにした。

OpenAIがGPT-5.4を使った「準自律AI化学者」を公開 — 創薬の難反応を改善

OpenAIはMolecule.oneと共同で、GPT-5.4を活用した「準自律的なAI化学者」の実証結果を公開した。医薬品開発において難易度の高い化学反応をAIが改善し、創薬プロセスの効率化に貢献したという。

AIが単に反応を予測するだけでなく、実験計画の立案から最適化までを自律的に行うアプローチは、医学化学の研究手法に変化をもたらす可能性がある。ただし、現時点では特定の反応に限定された検証段階であり、広範な創薬プロセスへの適用にはさらなる研究が必要とみられる。

深センでヒューマノイドをVRで操る「新しい職業」が誕生

WIREDの報道によると、中国・深センのIO-AI Techで、VRゴーグルと全身トラッキングを使ってヒューマノイドロボットを操作するワーカーが増えている。SF映画『レディ・プレイヤー・ワン』を想起させる同技術は、ロボットの自律性が十分でない段階における「人間による遠隔操作」という過渡期的なソリューションとして位置づけられている。

深センはハードウェア製造の中心地であり、ヒューマノイドの量産と操作要員の育成が同時に進む稀有な環境となっている。ロボットの自律化が進むにつれ、この職種自体がどう変化していくかも注目される。

AnthropicがAI企業として初めて炭素除去連合「Frontier」に加盟

Anthropicは、炭素除去技術への投資を促進する連合「Frontier」に加盟した最初のAIスタートアップとなった。Frontierには新たに9億1500万ドルの資金拠出が追加されており、AnthropicはAI産業の拡大に伴う電力消費増への対抗措置として炭素除去プロジェクトを支援する方針を示している。

AI企業のエネルギー消費に対する社会的な懸念が高まる中、大手AI企業が自発的に環境対策に取り組む姿勢を示した意義は小さくない。ただし、炭素除去技術そのものの効果やスケーラビリティについては、科学的な検証が引き続き必要とされる。