AnthropicとPwCが提携を大幅拡大、数十万人規模にClaude展開
AnthropicとPwCは5月15日、戦略的提携の大幅な拡大を発表した。PwCはClaude CodeおよびCoworkを米国チームから順次展開し、最終的に数十万人規模のグローバル人材に拡大する計画だ。
今回の拡大の柱は三つ。第一に、両社は合同センター・オブ・エクセレンスを設立し、3万人のPwCプロフェッショナルを対象としたClaude認証プログラムを開始する。第二に、PwCは**CFO向け新ビジネスグループ(Office of the CFO)**を立ち上げ、規制産業の財務変革にClaudeを活用する。第三に、エージェント型テクノロジー構築、AIネイティブなM&A実行、エンタープライズ機能の再設計という3領域に注力する。
すでに本番運用での成果も報告されている。保険のアンダーライティングが10週間から10日に短縮され、メインフレームの近代化プロジェクトでは想定の4倍のCOBOLコードベースを予算内で処理しているという。サイバーセキュリティではインシデント対応が数時間から数分に加速している。
Dario Amodei CEOは「保険のアンダーライティングが10週間から10日に、セキュリティ作業が数時間から数分になった。PwCの数十万人の手にClaudeを届けられることを楽しみにしている」と述べている。
OpenAIがサプライチェーン攻撃で従業員端末侵害を公表
OpenAIは5月15日、サプライチェーン攻撃により従業員2名のデバイスが侵害されたことを発表した。170以上のパッケージが影響を受け、コード署名証明書が漏洩した可能性があるとしている。
顧客データへの影響は現時点で確認されていないものの、予防措置として証明書の更新を実施。macOS版アプリのユーザーに対し、6月12日までのアップデートを求めている。AI企業のサプライチェーンセキュリティ体制が改めて問われる事態となった。
arXiv、LLM生成エラーの論文に1年間の投稿禁止を導入
プレプリントサーバーのarXivは、LLMが生成したエラーを未確認のまま掲載した論文に対して1年間の投稿禁止措置を導入したと発表した。
arXivのcs.LGモデレーターであるThomas G. Dietterich氏が明らかにしたところによると、ハルシネーションされた参考文献や、LLMのメタコメント(「ここに200語の要約を入れますが、変更しますか?」「この表のデータは例示です」など)が含まれている場合、その論文の全内容の信頼性が疑われるとして厳格な対処を行うという。投稿禁止期間後も、査読付き会議での採録が投稿の前提条件となる。
朝日・日経がPerplexity提訴、第1回口頭弁論
朝日新聞社と日経新聞社が、生成AIサービスPerplexityによる記事の無断使用を巡って起こした訴訟の第1回口頭弁論が5月15日、東京地方裁判所で開かれた。両社は計44億円の損害賠償と無断使用の差し止めを求めている。Perplexity側は請求を退けるよう求めた。
生成AI事業者によるメディアコンテンツの利用をめぐる法的争いは世界中で広がっており、日本国内でも重要な判例形成となる可能性がある。
100ドルでGPT-3.5超え——小モデルの「自己学習」が注目
Redditコミュニティで、個人の研究者が小規模モデルに自らの誤りから学習させる手法を発表し話題を呼んでいる。
Qwen 2.5 7Bベースモデルに、自ら生成したコーディング問題と解法を解かせ、正解と不正解のペアを学習データとする手法。人間が書いたデータは一切使わず、Pythonインタープリタだけが判定者となる。結果としてHumanEvalで25問から112問に向上し、Qwen 2.5 14Bでは95分間のH100実行(3.50ドル)で大幅な改善を達成したという。
特に興味深いのは、学習データ量が少ない(36ペア以下)場合、ファインチューニングよりサンプリングの方が良い結果が出るという閾値の発見だ。この閾値効果はこれまで文書化されておらず、研究コミュニティでの検証が期待される。
Orchard: オープンソースのエージェントモデリングフレームワーク登場
Hugging Face Daily Papersで発表されたOrchardは、スケーラブルなエージェント訓練を実現するオープンソースフレームワークだ。
コアとなるOrchard Envは軽量な環境サービスで、サンドボックス管理の再利用可能なプリミティブを提供する。その上に3つのレシピを構築している。Orchard-SWEはコーディングエージェント向けで、SWE-bench Verifiedで67.5%を達成し、同サイズのオープンソースモデルとしてSOTAを記録。Orchard-GUIは4Bのビジョン言語モデルでWebVoyager 74.1%を達成し、オープンソース最強となった。
環境レイヤーの軽量化により、異なるドメイン間でデータ・訓練レシピ・評価を再利用できる点が特徴的だ。